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ウクレレの達人

おじいさんのありがた~い おはなし。

 ど〇きつねたちの姿を見て、「酒呑童寺」の通用口の職員は、慌てて上役に連絡に走っていった。その後、一行は豪華な応接室に案内された。

 恰幅のいい、あからさまにカツラとわかるもじゃもじゃヘアーの男が入ってきた。

「私が『酒呑童寺』の支配人でございます。」

「私たちは、ど〇きつねよ。」

「存じております。で、この度は公演の打ち合わせですよね。お江戸で大活躍だと伺っております。実際に見ると何と美しい。」

「よくわかってるわね。まあ人気になっているみたいね。」

ムーンが、いい気分になって話がそれそうだったので、マーキュリーが話を引き継いだ。「今回、来たのはこの件です。」

 マーキュリーは、約600年前の画像が映った端末を見せた。

「これは……。もしかして、あなたたちは……。」

「ええ、そしてあなたも鬼ではありませんか。」

 食い入るように画像を見ていた支配人は、気づいたら涙を流していた。

「懐かしい……。あの頃は楽しかったなぁ。」

「あなたも、ここにいたんですか?」

「ええ、私はぶーといって、ギターとウクレレを弾いてました。」

「じゃあ、600歳以上?」

「ええ、今年で682歳になります。」

「鬼って長生きねぇ。」

 マーズとジュピターがおどろいて、支配人の顔をまじまじと見ている。

「いえもう、生き残っているのは私を含めて3匹だけですよ。」

「確か鬼族って、地球にコロニーを持ってたはずですが……。」

「ええ鬼ヶ島が襲撃に会いましてね。私の一族が、やっと逃げて落ち着いた先がここでした。」

「他のコロニーはどうなったんですか?」

「あの頃『鬼ヶ島の鬼退治』が流行りまして、もう残っていないと思います。」

「結構な数、渡ったはずですよね。」

「ええ、生き残った鬼たちも、鬼退治で一匹ずつ殺されましたよ。」

「それで、連絡が取れなくなっていたのね。」

「わたしたちはここで、踊りと音楽で交流して、うまくやってましたが、200年程前に流行った最後の鬼退治ブームから、鬼であることを隠して生きてます。」

「ね。この人知ってる?」

 ムーンは金ぴか将軍が写っている画像を見せた。

「ああ、将軍様ですね。この人には助けられましたよ。」

「やっぱり、あの人……。」

「将軍様は、ダンスを広めたり、『酒呑童寺』のもめごとも解決してくれました。」

「もめごと?」

「ええ、今では伝説になっている。大江山の鬼事件ですよ。」

「マーキュリー、どんな話か知ってる?」

「昔話で、源頼光と四天王が、大江山の鬼を退治したって話です。」

「それは、200年ほど後から広めた話なんです。こうすればここには鬼はいないって、思うでしょうから。」

「じゃあ、うその話?」

「いえ、茨木童子が腕を切られたとか、酒呑童寺に攻め込んだとか一部事実が混じってます。」

「戦ったの?」

「ええ、でも保昌さんが吹いた笛で、大人しくなって、それから将軍様が現れて楽しく踊りました。それからはみんな仲良くなりましたね。」

「そのパターンは、今と同じね。」

「保昌さんてって、誰?」

「小式部さんのお義父様ですよ。」

「小式部さんって、ここでも小式部内侍?」

「ええ、小式部さんは、初期の酒呑童寺の大スターでした。お母さまの和泉式部様も当時を代表するアイドルでしたね。」

「この画像の子?」

「ああ、そうです。本当にこのころは素敵でした。」

「このころは?」

「ええ……。早くに亡くなりましてね。みんなで泣きましたね。」

支配人は、さらに涙を流している。

「『異界の門』の話は聞いてる?」

「その事件には私たちは直接関係しませんでしたけど、聞いてますよ。」

「どんな?」

「都に現れた異界の門を封印するために、大規模なイベントを関白様が催したってことですか。」

「イベント?」

「ええ3日間にもわたる。大イベントでしたよ。」

「場所はわかる?」

「イベントは異界の門が北東になるように桂川でやったそうですよ。でも、あのころ門を見ることができたのは晴明さんと小式部さんぐらいでしたよ。」


 ど〇きつねたちは、生き残った鬼たちがいることを報告することと、秋に公演を行うことを約束して、「酒呑童寺」を出た。


ここで前章と時代を越えてつながりました。

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