怪談大会
おじいさんのありがた~い おはなし。
「そして後ろを振り向いたら……。」
「ぎゃー!」
「イヤー!」
「怨霊退散!!!」
夏の夜、ど〇きつねたちは、猫又たちの古いお堂で怪談大会をやっていた。すでの化け猫や猫又が参加している時点で十分怪談なのだが、又八とさくらも呼ばれていた。
「又八、かいだんって何?」
「こわい話だ。」
「又八が他の女の人のところに行くとか?」
「それって、その後がこわいよね。」
「痴情のもつれってやつですね。」
「やっぱり浮気はだめよ。私は推し一筋!」
「怨霊退散!!!」
二人の会話にど〇きつねたちも入ってくる。又八が後をつづける。
「なんか。三大かいだんってのがあるって聞いただ。」
「三大かいだん?」
「一番長い階段か?」
「それは、このデータブックによりますと、肥後に3333段っていうのがありますね。」
「いや、江戸三大かいだんだから、江戸だろ?」
「四谷の階段が怖いんだ。」
「四谷の階段?」
「なんでも、階段から落ちた岩で顔がはれて、『銀ちゃん』って叫ぶんだ。」
「階段から落ちるの怖い。」
「三十五段も落ちたってことだ。」
「それ、鎌田の階段じゃない?」
「ふーん、鎌田にも階段があるんだ。ね、又八。他の二つは」
「ん~。井戸の中でお皿数えるやつかな。」
「お皿?」
「一枚足りないっていうんだ。」
「わたし、ジュピターがお札数えているの見たよ。一枚足りないって怖い顔してた。」
「それは、売掛が……。」
「又八、それから?」
「ん~、なんだっけ、ああ!女の霊が家の周りにやってくる奴だ。」
「まあ、化け猫やきつねが来てるし、それはもう同じね。」
「嫁が元イヌだしねぇ。」
と、怪談話が、ズレまくった会話になっていたそうな。
「おお、いいところにみんないるな。」
遊び人の金さんが突然現れた。
「ちょっと聞かせてほしいだけど、いやな。最近江戸の町で幽霊騒ぎがあってな。猫又ばあさん、何か知らないかい。」
「幽霊騒ぎかい。」
「ああ、なんか女の幽霊が出たって、何件も苦情があってな。」
「苦情?」
「もうこの暑いのに、奉行所はいい迷惑だよ。ばあさん何か知らないかい?」
「いや、わしにはわからんのう。内蔵助たちに調べさせようかの。」
「ありがたい。ばあさん頼むぜ。」
「ああ、今月分の魚代もよろしくな。」
金さんは桜吹雪をちらちらと見せながら帰っていった。最近は、将軍様と町奉行の手配で、猫たちによる被害もなくなったようだ。
相変わらず、事情が分かっていない又八が、首をかしげて
「なんで金さんが、苦情受け付けてるんだ。」
「そりゃ、遊び人の金さんだからよ。」
「そうか。」
なんだか又八は納得したようだった。
「ね、又八。」
「ん?」
「幽霊捜そう。」
ど〇きつねたちも興味津々で、一部反対はあるもののマーズが張り切っている。
「わたしたちの出番ね。」
「怨霊退散!!!」
「幽霊退治は専門じゃないわよ。」
「科学的にはどうなのか。証明できるわね。」
「一枚足りない……。」
ヴィーナスの分のおやつのせんべいが足りなかったようだ。
江戸編になります。