虹 について
私が初めて虹を見たのは、確か幼稚園で3歳か4歳の時でした。
その日もいつものように幼稚園の授業というか、日課も終わり、
お帰りの時間という、お父さんお母さんが子供を迎えに来る時間も終わっていて
遊び足りない子たちだけが園の滑り台やジャングルジムで遊んでいるとき
私は砂場で遊んでいて初めて虹を見つけたのでした。
この日の前日、私はテレビの番組で宇宙人の特集を真剣に見ていて
私はこれは
大事、たいへん!ちきゅうやばい!うちゅうじんくるし!
と感じ、滑り台でのんきに幼児とあそぶ保母さんのもとへ一目散に駆け寄り
「大変だあぁー助けてぇたうけてーーー」
と大声を出したところ、「にげるのよぉぉぉぉぉぉぉおぉぉ」と大声で保母さん
(先生)も叫び、滑り台の子たちも混ざり、私たちは
なぜかジャングルジムの周りをぐるぐると走り続けました。
私は気づきます。にげれてないし・・・・・
立ち止まりました。
先生も立ち止まり「どうしたの?」とやっと理由を聞いてきました。
私は息を整えて、「あれは何?」と虹を指さして聞きました
先生は「あれはね、空にかかる虹という橋よ」と教えてくれました。
私は(なんだ、橋かあ、きれいだなぁ)と安心してまた砂場に戻りましたが、
この安心も長くは続くませんでした。
私は虹の橋が崩れてきたらどうしよう。ととても心配になってきたのです
(虹の橋が崩れる)そんな思いが頭の中にこだまします。
そんな心配をしながら、幼馴染のさなえちゃんが(お母さんごっこしよ)ということになり、いつの間にか虹の事は忘れてしまったのでした。
やがて夕方も遅くなり、「もういっぱい遊んだでしょう?」と母親に迎えられ
私が空を見たときには
虹はどこにもありませんでした。
私はこの時生まれて初めて、(ああ、崩れてしまったんだぁー)と
幼心に絶望感を感じました。