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第?話『資料:おはなし』

あるところに、小さな村がありました。そこは森の近くで、畑がいっぱいあり、野菜や果物がたくさん採れる村でした。


村にはユキという一人の男がいました。彼もまた畑を耕しておりましたが、なんとも無愛想な顔つきで、村の人達は全く交流をしない彼を嫌に思い、子供たちも彼へ近づきませんでした。


彼もまた、子供たちに好かれようとする素振りは見せませんでした。ただ畑を耕しては、肥料をやり、野菜の種を植えては、水をやり、それを終えたら、森を一日中眺めているばかりでした。


ある日の夜、村の畑から唸るような低い音が聞こえてきました。村の人はなんだろうと思って、寝床から出て、窓から畑の様子を窺いました。それに気づいた子供も大人についてきました


すると大きなクマのような魔物が、仁王立ちで畑の真ん中に居りました。なんと畑の作物を食い荒らしているのです。


村の人たちはただただ家の中で怯えながら、踏み潰される畑を眺めているしかありませんでした。


すると一つの人影が魔物の前に立ちはだかりました。それは誰あろう、ユキでした。村の人たちはびっくりしていました。子供たちはあれだけ忌避していた彼に、はやくにげて、と一斉に叫んでいました。


ユキはクワを両手で握り、思いっきり魔物に斬りかかりました。いくら凶暴で図体が大きい魔物も、斬れ味鋭い刃物を受けてはひとたまりもありませんでした。


再びクワを振り翳したユキに対し、魔物は低く震えた鳴き声で逃げていきました。


逃げてゆく魔物を確かめながら、村の人たちは灯りを手にして、ユキの元へと駆けつけました。


幸いにも魔物に襲われる合間もなかったようで、ユキには傷一つありませんでした。大丈夫か、と言う村の人もいれば、ありがとう、という人もいました。


畑は随分と荒らされてしまいましたが、ユキのお陰で、半分ぐらいは元のままでありました。


夜が明けて、村の人達はまた畑仕事を始めました。それも、畑を耕して土を均すところからですから、とても大変なことでした。


するとユキが現れて、畑仕事の手伝いをしてくれました。なんの表情の変化もない彼でしたが、何も言わずにせっせと動く姿はとても頼もしいものでありました。


数十日経って、畑もだいぶ良くなり、またいつもの日常が戻ってきました。唯一違ったのは、森を眺めているユキの隣には、複数人の子供がいて、お喋りをしながら、彼と同じように森を眺めているのでした。


もう彼を嫌に思う村人は誰も居りませんでした。


おしまい。

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