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第0話『プロローグ』

気づけば知らない空間にいた。真っ白な世界だ。


あたりを見回しても誰もいない。それどころか、自分の姿すら認識できない。自分の両手が目の前にある感覚があっても、それを視認できない。


この場所を突き止めるために一度歩き回る。しかし、どこまで歩いても真っ白な景色は変わらない。そもそも、自分は今しっかり歩けているのか。歩く感覚だけはあるが、当然足はない。幽霊になった気分だ。


…いや、(あなが)ち間違っていないのかもしれない。本当に幽霊なら、自分はとうに死んでしまったのかもしれない。それならそうと諦めも付くが、どうも死んでしまったという感覚がない。それに、周りになにもないのはやっぱり可怪(おか)しい。


死んでしまったら、例えば天国とか地獄とか、或いは極楽とか、そういうところに閻魔様や仏様から行けと言い渡されるはずだ。第一、どこにいたとしても自分以外に誰もいないのは不自然だ。


もしかしたら自分はこの場所を一生過ごすのかもしれない。そう思うと焦りと恐怖が湧いてきた。いつまでも続く景色は監獄の中のように感じてきた。


助けを求めようと声を出すが、その声も自分には聞こえない。もしかしたらどこかから音が聞こえるかもしれないと耳を澄ませたが、聞こえるのは耳鳴りだけだ。下手したら、そもそも耳もないのかもしれない。絶望感が漂う。


いったい自分の身に何が起こったのか。何故ここにいるのか。そもそもここはどこなのか。ただ知りたかった。


ふと向こうから光が見えた。真っ白な世界なのに、眩しいとすら感じなかったのに、私はそれが何かの光だと思った。もしかしたら外へ出られるかもしれない。宛てもなく彷徨っていた私は一縷(いちる)の望みをかけてその光を頼りに進んでいった。

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