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フィアナ、異世界での日々を謳歌する

 テストへのテロリストの乱入。

 そんなエリシュアン創立以来の大事件――があったことを翌日知り、



「うぅ……、あんまりです――」


 私は、しくしくと教室で泣いていました。

 エレナ学園長からは、事件の解決に貢献したということで感謝状をもらいましたが、それとこれとは話は別。

 そう、あの日無くなった試験は――、


「まさか、再試験だなんて――」



 来週、再び行われることになったのです!


「まあまあ、フィアナさん。穏やかな気持ちでテストを受けられるのも、フィアナさんの活躍のおかげですし――」

「私、テロリストになります!!」


「フィアナちゃん、冗談でもそんなこと言っちゃいけません」

「いいえ、私はいつだって本気です!」

「「なら、尚更ダメです(わ)!」」


 参考書の束を抱えて、ひょこっと現れるエリンちゃん。

 ――あの日から、色々なことがありました。



 まずはシリウス先生。

 なんでも数年前から、犯罪ギルドであるスカーレットムーンの首魁に入れ替わっていたとかで、上を下への大騒動になりました。


 驚くことに犯罪ギルドは、ほぼすべての構成員が平民で構成されていたとのこと。

 テロ行為の目的は、エリシュアンの学生を人質に取り、王国相手に要求――平民の差別撤廃を押し通すこと――であったとセシリアさんに説明され、


「へ? でもシリウス教頭は、純血主義――貴族だけが偉いっていうものですよね?」

「ええ。だからこそですわ。平民出身の組織が問題を起こし、そんな無茶な要求を突きつけてきたのなら――王国では、平民への風当たりが強くなることでしょうね」


 そう狙いを解説してくれたのは、貴族社会のあれこれに揉まれたセシリアさん。

 これには私とエリンちゃんは、ほえーっと感心したように口を開け、


「貴族社会、怖いね……」

「派閥、怖い。派閥、近寄らないようにしようね――」

「うん」


「怖くありませんわよ!! ワタクシの派閥に入って下さった暁には、ローズウッドの名において、素敵な未来をお届けしますわ!」

「それ……、なんだか怪しい宗教勧誘みたいですね――」

「さすがに酷いですわ!?」


 私たちは久々に、そんなやり取りを繰り返すのでした。




「あ、そういえばアレシアナさんは?」

「それが――あの日以来、一緒に姿をくらませてしまったとかで……」


 あの日、学園を襲ったスカーレットムーンの面々は、そのことごとくが捕縛されることになりました。


 奇跡的に人死にはゼロ。

 とはいえその構成員の大半は指名手配されていたらしく、そうでなくとも大勢の貴族を相手に監禁未遂の凶行に走ったということで、



「捕まったら、ほぼほぼ死刑ですからね――どうにかならないんですかね」

「こればっかりは、どうにも……」


 私たちは、顔を見合わせます。


 捕縛された犯罪ギルドのメンバーの大半は、簡易裁判の後、断頭台送りが決まっていました。

 当然、協力関係にあったアレシアナさんも重罪になるのは疑いようがなく、


「ワタクシたちが無事だったのは、アレシアナさんの働きも大きいですものね」

「はい。あの設計書がなければ、まず魔封じの結界を解くことはできませんでした」


 思えばアレシアナさんは、いつも感情を見せずに無表情を貫いていた気がします。

 私たちは、まだ何もアレシアナさんについて知らない状態で……、



 ――もし叶うなら、次はアレシアナさんともお友だちになりたいな。

 私は密かに、そんな願いを抱くのでした。




***


「今日の放課後、また街に遊びに行きませんか?」

「行きますわ!」


「やった! えへへ、この間見つけたアイスクリーム屋さんが、すごく美味しくてですね!」

「あなたは食べてばかりですわね――」

「わ、私も行きます!」


 今日も、呆れた目を向けてくるセシリアさん。

 一方、甘いもの大好きなエリンちゃんは、キラキラした目で前のめりにそう宣言し、



「それじゃあ今日の放課後、時計塔の下で待ち合わせしましょう!」


 いつものように、そう待ち合わせ場所を約束して解散。

 私は、今日も健康な身体に感謝しながら異世界での日々を謳歌するのでした。

ひと区切りということで完結します。

時期は未定ですが続きも投稿できればと思いますので、よろしければブックマークはそのままにしておいて貰えれば嬉しいです!



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