第二十九話 先輩の家へ
「あの~、降りないの?」
先輩と私は、同じ方向の電車に乗っていた。車内では、ふたり仲良く揺られていた。
電車は私がいつも降りる駅に着いたけど、私は降りずにそのままでいた。
すると、先輩が私に疑問をぶつけてきた。
まるで、私が居ると迷惑だと言わんばかりに。
ホント、どうしてくれようか。
「私が居たら、何か不都合でもあるんですか?」
「いや、別に」
目をきょろきょろして、ホント先輩って面倒。
「それで、坂上さんはこれから、どこに行くの?」
「プライバシーを詮索しないでください。セクハラですよ?」
「ああ、はい。すみません」
「何で先輩は、そんなに優柔不断なんですか?」
「何で?」
「怒ればいいじゃないですか。この小娘、黙れって」
一度、そんな先輩を見てみたいかも。
やば!想像したら、ゾクッときたかも。
ギャップ萌えかな?
どうしよう、癖になったら。
一回お願いしようかな。先輩、やってくれるかな?
「ええっと、仮にだよ、もしそう言ったら、君は黙る?」
「10倍にして返しますけど」
嘘です。10倍にして、先輩に優しくしてあげますよ。
ああ、でもどうなるのか、保証は出来ませんけど。
「女性にそんな失礼なことは、私は言いませんよ」
「ただ面倒なだけって、聞こえましたけど?」
だいたい、先輩だって面倒じゃないですか。
今だって、この場をどう切り抜けようかって、考えている癖に。
「とにかく、ご一緒します。どうせ明日は先輩とずっと一緒なんですから、構わないでしょう?」
先輩が戸惑った顔をしたけど、そういう顔をするから、いじわるしたくなるんですよ。
だって、可愛いから。
少しは、自覚をしてください。
「少し、買い物をしますので、付き合ってください」
「ああ、はい」
そうそう。
最初から、そう素直でいればいいんです。
ホント、先輩って、面倒な人。
「買い物って、ここでいいの?」
私は先輩の質問を無視し、ファストファッションのお店に入ることにした。
「坂上さん?」
「ちょっと、待っててください」
店内まで一緒に来てもらおうか考えたけど、下着も欲しいからお預けをしてもらうことにした。
でも、どうしてだろう。
下着を選ぶのが、何で恥ずかしいと思うのだろうか?
やっぱり、まだ乙女だからかな。
なら、もっと大人の女性を演出しないと。
だとすると、まずは身だしなみかな。
大人の女性っぽい身だしなみって、どんなんだろうか?
う~ん、大人の女性なら、下着はやっぱり黒かな?
それはそれで、恥ずかしいかも。
そういえば先輩って、どんな下着が好きなんだろうか?
大人っぽいのかな?
それとも、清楚なのかな?
好みを聞いておけば、良かったかも。
あ~、もう!イライラする。
これって、先輩のせい?
ホント、先輩って、面倒!
買い物を終え、私が戻るまで、先輩は外で大人しく待っていてくれた。まるで、子犬のようにだ。
私は嬉しくなり、先輩を私専属の荷物持ちに任命することにしました。
「ああ、どうもありがとう」
「それ、私の着替えですけど?もしかして、先輩は女装趣味でもあるんですか?キモイんですけど」
でも、先輩の女装姿も、見てみたいかも。
昨日のジャージ姿も、とっても可愛かったし。
写真撮っておけばよかったなあ。
ああ、私ってダメな女かも。
「行きましょうか」
「え?どこへ?」
「先輩のおうちに決まってるでしょう」
ホント、先輩って面倒。
私も、面倒なオンナなんですよ。
先輩、分かってますか?
ね?




