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頼庵のエッセイ集

夏に舞う優しい光

作者: 藤谷 K介(武 頼庵)

今回の作品は想いと思い出。

【作品名を変えました】

 

 自分が田舎暮らしという事もあるだろうけど、7月末辺りから聞こえてくるセミの鳴き声などに『夏らしさ』を感じるのは、少し歳を経て周りに気を配ることが出来るようになったからだろうか。


 自分が小さい頃は、自分の住んでいる街自体がまだ近代化していないままで、それこそ県内でも田舎の方だった。だから家の周りには当たり前に田園風景が広がり、少し離れたところには大きな川なんかも有ったりして、毎日の遊び場所には困らなかったものだ。


 それが、中学生、高校生と成長するにつれて、開発の手が入るようになると様変わりし始めた。


 今住んでいる場所は街の中心地近くになるのだが、中心地とはいえもちろん周りは農地が広がっていたし、道路だって対面通行が当たり前の細いものでしかなかった。

 街道というモノが通ってはいたが、決して車通りが多いわけでもなく、日曜日や連休、夏休みなどの休みの日に渋滞する程度のものだったのだ。


 しかし近年には町の中がキレイに整備され始めた。

 それに伴って道路の幅は広がり、町も周辺市町村と合併して大きく広くなった。人の流れが出来て、それが通常・日常となるのは早い。

 いつの間にかその流れに慣れてしまった自分がいる。


 しかし、そんな中でも実家にこの季節に戻るとその周辺には夏を感じられるものが有った。


 それが夜道で『淡く点滅する光』である。

 

 前述した通り、実家の近くには大きな川が流れていたため、その川から枝分かれした支流のまた支流が、近くにまで伸びていた。


 そして夏になると周りの田んぼに潤いをもたらすその水は、幻想的な景色をも眼前にもたらしてくれた。


 満天の星空の元にひらひらと舞う淡い光。


 そう蛍たちが夜空に舞う光。


 小さい頃の自分には、家の周りで舞う光の粒が当たり前の光景だったのだ。

 残念ながら現在はその光の源になっていた水源も、開発の手により消滅してしまったが、今でもその光景は目に焼き付いている。


 だから自分が思う『やっぱり夏は〇〇〇!!』とは蛍の光でしょ!! という事になるかな。


 もう記憶の中でしかあの光景は映しだすことが出来ないけど、それほど『当たり前』に目の前に有った物だから、それが自分の夏なのだ。


 人が住む町なのだから、開発の手は止められないのかもしれない。便利な世の中になって欲しいという思いも確かにある。


 でも願う事ならば、これから先に生まれる世代の子供達にも、星と蛍で作られた光の共演する世界をこれからも残してほしい。


 そんな思いを込めて蛍を夏に推したいと思う。




 

お読み頂いた皆様に感謝を!!



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― 新着の感想 ―
[良い点] 星と蛍で作られた光の共演する世界 という表現が好きでした。 (*´∇`)
[良い点] 景色は変わってしまいますよね。自然や町並みだけでなく、人の暮らしぶりや道具もどんどん変わって寂しく思うことがあります。「なろう」の良いところは文字で残せるところだなぁと。自分の場合は元々日…
[良い点] 私は地元めちゃくちゃ田舎ですが、そして結構なおっさんですが、私が子供の頃にはもうホタルはいなくなってました。 大人になってから初めて見ましたが、確かに子供の時分に見ていたら印象に残るだろう…
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