適正検査(真)
ご主人様は、ドルトさんについて行かずに広間の椅子を引いて座ることにしたらしい。実際そんなに遠くの場所にいくわけじゃなくてドルトさんの研究室に置いてあるものをとりにだけだった。
「これが属性別の魔力属性適正判別装置だね。開発したのはいいんだけど、多属性持ってる人が少なすぎて意味なかったやつ。あ、でも意味ないわけじゃないか。商品化が難しかっただけで。」
平民は魔力属性の適正は持ってる人が少ないから冒険者ギルドにあるもので十分であって、元々魔術師の家系に生まれてる人たちは自分の属性適正は知ってるらしいかららしい。
「じゃあ、えっとこれ。腕につけて待ってて。」
ぼくに渡されたのは注射器みたいなやつ。って、注射器??こんなものも魔道具として開発されてるんだ。
言われた通りに腕につけていると、準備が終わったのか手招きされる。机の上に置かれたのは冒険者ギルドにあった水晶球を小さくしたものがいっぱいついてるやつ。
「多分痛くはないと思うけど、怖いなら目をつぶっててもいいよ。」
腕をもたれて、看護師さんみたいに注射器を構えたドルトさんにそう言われる。絶対痛いし、見てない方が怖いって!
「じゃあ刺すね。……よし。もう大丈夫。いや、僕こういう時切るの野蛮だと思ってるんだよね。血が止まらなかったり切りすぎたりするしね。だからこれ開発したんだよね。…あんまり痛くなかったでしょ?」
確かに見てても刺されたとは思わなかったくらい痛くなかった。日本ではこんなことなかったから普通にびっくりした。
「じゃ、取った血を流し込むから見ててよ。」
ドルトさんが注射器に入った血をミニ水晶球に一滴ずつ垂らしていく。ミニ水晶球は上の段から四個、五個、六個の順番に置かれていて三段の小さい階段のようになっている。
一段目の四個のところに血を垂らすと、ミニ水晶球では一つずつ緑と青と黄色のある程度の光が出てもう一つのミニ水晶球からは他の三つよりは暗い赤の光が出ている。
「おっ。基本四属性は持ってるんだ。すごいね。」
そのあと、ドルトさんが全部の水晶球に血を垂らしていくと、全部の水晶球に光が灯った。
「えっと、これって結果はどうなんですか?」
ぼくが固まっているドルトさんに質問すると、ドルトさんはゆっくり首を動かしながらこっちを見てくる。
「……ナギ。君、僕の部下になるつもりない?」