表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ようこそ! カフェオンライン部へ!  作者: 石山 カイリ
守晴はどこへ行ったんですか~♪
74/108

甘那と雪那と……

 ここは、《星空出版》経営のメイド喫茶《天使のボイス》。

 表向きでは、《星空出版》の経営社が、皆様に安らげる空間を。というコンセプトでやっているが、実際は違う。


 喫茶店で楽しくワイワイ、喋っていると時たまポロっと重要な情報を溢すことがある。彼女らはその情報を狙っているのだ。

 《星空出版》が喫茶店を開くと、言うことは少なからず、そういうことだ。と理解されているものが多い。


 なので、お偉いさん方は近づかない、または来たとしても、気を張り詰めて大事な情報を溢すことが少ない。

 では、この作戦は失敗だったか。答えは断じてノーだ。


 それらも考慮した上で、計画を立てている。《星空出版》はまだ若い会社で、報道部のOBがやっているということもあり、全体的に若い娘達が揃っている。それらがメイト服を来て接客しているのだ。


 大半の男は欲求に逆らえないだろう。加え、やっているのが、聖ブルーローズ女学園のOBで、かつ学園から近いということもあり、こういう店を毛嫌いする若い女性らの集客率も稼いでいる。

 ので、ここは普通のメイド喫茶とは違うという、世間体が出来上がっており、敷居を卑しい男達が跨ぎやすい構造が出来上がっている。


 また、メイドコースと、普通の喫茶コースで値段も分けられており、主婦層の人気も高くなる。

 それが、《星空出版》の筋書きである。

 今は、オープンして間もないので、聖ブルーローズ女学園のOBや現生徒の集客が大半だが、OB達が、会社の同僚を連れて来てくれて、その同僚が会社の上司をちらほら連れて来てくれている。


 最近では、主婦の方も週に数名来て、井戸端会議をしている。

 そんな訳で滑り出しは順調である。

 ここからは、リピーターを増やす方法を模索する必要も、新店舗に取っては切り離せない課題ではあるが、それはこの場合既にクリアしていると言って良いだろう。


 なぜか。それは、まだ来たいと思えないような店に、会社の上司を連れてこないからである。

 これもひとえに、恵子のコーヒーがあってのことだろう。否、コーヒーだけではない。

 恵子は、《オールラウンダーのバリスタ》の二つ名の如く、接客や、料理まであらかた器用にこなせる。


 対し、《青空出版》の社員はというと、もとは報道部のOBと言うこともあり、一部スタッフは趣味で料理経験者なものの、あくまで趣味止まり。お客様には到底お出しできるような品ではなかった。


 これを考慮しても、接客はもちろんダメダメで、ここのスタッフは全員恵子が育てたといっても良い。

 その為、恵子に頭が上がらないし、恵子を尊敬している。


 恵子も恵子で、その事でえらぶらないし、幼い弟の事を優先で仕事が出きるなら、それだけでありがたいと思っている。

 とは、言え、現状は恵子がいなくなると、店が回らないのもまた事実。


 なので、恵子が嫌がりそうな情報。例えば、かつての部活仲間の情報や、恵子の直属の後輩であるカフェオンライイン部の情報は、手に入れても上や報道部へ報告しないのが、暗黙の了解となっている。


 そんなことを見抜いているのは、恵子はもちろんのことながら、甘那に雪那。

 故に、雪那は甘那との密会にここを選んだのだ。ま、一つ問題があるとしたら、もはや、甘那の取り巻きのようになっている、アキラが同行していることだが……。


 まぁ、まずい話しを聞かれても、彼女は何気に賢いし、何があろうとも友人は売らない。そんな体質だから、問題はないだろう。

「久し振りね。甘那さん。それと……、なんだったかしら……」


「桜井アキラだよ!? いい加減覚えてね!? 桐谷さん!」

 メガネを掛けたクールビューティー系の女性に挟まれてるのに、気後れしないでツッコミを入れる、イモ系女子アキラ。


 その光景を、対面で見ながら、爆笑中のメイド服姿の恵子。

 仕事がちょうど休憩時間で、それでたまたま面白い組み合わせを見つけたので、加わったようだ。その事も雪那は計算積みなのだが……。


「ちょっと、天野さんも笑わないで貰えますかねぇ!?」

「わりわり、未だに名前覚えられてないんだって思ってよ……」

「人が気にしていることを!!」


 と、両脇でテンポのいい漫才が繰り広げているなか、甘那はため息混じりで、本題に入ろうと口を開く。

「それで、要件はなに?」

「あら、連れないわね。せっかく久し振りに合ったのにもっと会話を楽しみましょうよ……」


「よくも、いけしゃあしゃあと、そんな心に思ってないことを……」

「あら、甘那さん。雪の事を誤解しているようだけど、雪は以外に無駄なダベりは好きよ?」

「好きなら、無駄なんて言葉が出るわけないし、それに、これまでの二年間、あなたあたし私に声を掛けたのって、いつも用がある時じゃない?」


「そうだったかしら?」

 腹の探り会いをしている二人を中心に、極寒の風が吹き荒れるような感覚に襲われる。

 それは、遠く離れた客や、肝が座っているスタッフ達までもが、背筋を凍らせるものだった。


 そんな中、発生源の一番近くにいた、アキラと恵子は平然と苦笑していた。

「やっぱり、すごい……」

「ああ、だな……。だが――」

 恵子はどこから取り出したのか、銀盆を振りかざし、三つの頭を順繰りに叩く。

「あたっ」「っ」「いたっ」


 三者三様の反応を見せ、極寒の風のような圧が収まったのと、ほぼ同時に、恵子の男勝りな口調。

「――おまえらなぁ、じゃれ合うこたぁ、良いが、あたしと弟を路頭に迷わせる気か!!」


「ごめんごめん恵子、そんなつもりじゃないの。ただ、つい、ね?」

 軽く謝ってくる甘那に、さらに苛立つ恵子。

「つい、で、店を廃業にさせられてたまるか!」

「路頭に迷ったら、雪が養ってあげるから心配しないで」


「おう、ありがとな! もし、店が廃棄したら、お前の脛がなくなるまでしゃぶり尽くしてやるからな!」

「その時は最近、読モの話しとか、テレビ出演の話とかが来てるから受けるとするわ」


 嫌味に嫌味の上乗せで返された恵子の舌打ち。

「なんで、うちまでお盆で殴られないといけないのですかねぇ!?」

 正当な怒りをぶつけられた恵子は、

「お、おう、わり……。つい、癖でな」


 と、押し黙るしかなかった。

「その癖、やめて貰えませんか!?」

 と、まぁ、ここまでがこのメンバーのみが集まった時のお約束だ。

 甘那と雪那はよく言えば、似た者同士、悪く言えばキャラ被りな訳もあって、仲が良い。


 ――そんな甘那と雪那の大きな性格の違いは、主に二つ。

 一つは、甘那のほうが、雪那より、血の通っている言い回しが出きると言うこと、もう一つが、甘那より雪那のほうが、柔軟に物事を考えて発言が出きると言うこと――


 第一、仲良くなければ、人付き合いが【ヘカテー】モードじゃなければ、苦手な雪那が誘う訳がない。

 恵子が言うように、毎回こうやって、じゃれ合うのだ。


 ま、慣れていない人に取っては溜まったものではないが……。

 それでも、甘那の言うとおり、雪那から会おうって言い出すのは、何か用がある時だけと言うのは事実である。


「それで、あたしに何の用?」

 甘那が本日二回目の呼び出した理由を問うた。

 一回目とは違い、暖かみのあるこえで……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ