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ようこそ! カフェオンライン部へ!  作者: 石山 カイリ
カフェオンライン部は、開店してます♪
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ファンクラブ

「本当に強いよねー。椎菜さん」

「だねー。あの子に勝つのは無理ゲーだわー」

 そんな事をダベりながら、モニターを見ている二人は開店初日。一年間無料パスに誘われて、椎菜に還付なきまで叩きのめされた、美術部の二年である。


 この二人、文系ということもあり、勝てないと早々に諦めを付け、無駄なことをせずに素直に、お金を払おうと決めここに入り浸っているのである。

 リニューアルオープンを果たしたのが、二千三十九年四月十一日の月曜日。


 この日から三日間。一年間無料パスを目当てに挑戦する人達が絶えなかったが、それも椎菜の神掛かったゲームセンスを目の前にし、負けず嫌いとゲーマー数名の残し戦意喪失。

 そしてその後は、噂を聞き付けた運動部員が押し寄せることとなった。


 それも、ほんの一週間で落ち着き現在。二千三十九年四月二十二日。

 現在は文系や体育会系、帰宅部の負けず嫌い、ゲーマー、そして若干一名。本気で一年間無料パスを取りに来ている人がメインで戦っている。


 あとは椎菜非公式ファンクラブのメンバーが椎菜にやられ隊だのと、言って時たま戦っているくらいである。

 因みに、ここ二週間で椎菜は三百十四連勝している。


 その中でも、椎菜が筋が良いって裏で褒めていたのは、この絶賛現実逃避中の美術部二人である。椎菜曰く、

「あと半年以内に確実に無料パスを取れるよ。あの二人」


 らしいのだが、そんなことは知る由もない美術部員達は《本日のおすすめケーキ》のフルーツタルトを口に運びながら、対戦を傍観していた。

「あ、これで、三百十五連勝だー。やっぱりうちら早々に諦めて正解だったねー」


「ほんと、ほんとー。に、してもさー、最初はゲームカフェとしてリニューアルオープンしました~。なんて言ってたからどうなることかと思ってたんだけどねー。モニターとゲーム、店の内装は変わっちゃったけど、雰囲気は変わらないよねー」


「ほんとに、それなー。ただ、厨房より接客スタッフのほうが足りてないみたいなんだけどさー。慌てふためく姿が小動物みたいで可愛いからさー。ついいじわるしたくなるんだよねー」

「それ、わかるー。可愛いと言えばさー。椎菜さんも可愛くない? 笑顔が尊いわー」


「それわかりみが深い。なんかさ、三紅さんは困らせたい系だけど、椎菜さんは喜ばせたい系だよねー」

「ほんとにそれなー。うちもファンクラブ入ろうかなー」


「その方が良いよ。マジ。今なら特製ブロマイド付きだから」

 そう言いながら、紅茶を口に運びながら、さりげなく、制服のポケットから会員証と、ブロマイドを取り出し見せびらかす。


 それに、もう一人の美術部員は飛んでもない食い付きを見せる。

「なぬっ! それは、早く会員登録しないと! ……って、あれ? なんであんた会員証四枚あるわけ?」


 ジト目を送りつける。

「あー、それはね……」

「会員証四枚って、お主通ですなー」

 と、言葉を遮ったのは隣の席に座っていた、サッカー部員だった。


 サッカー部員は肩肘で――届いてはないが――横腹をつつくジェスチャーをするや、それを受けた美術部員は「いやーそれほどでもー」と、照れながら自身の頭を触る。


 そんな謎の光景を見させられたもう一人の美術部員は痺れを切らしたのか軽く咳払い。

「あ、あの……」

 呟くように注意をこちらへと向けると、答えたのはサッカー部員だった。


「あー、ごめんごめん。うちはサクラの幼なじみで、三島(みしま)桐花(とうか)。ま、モモって呼んでよ」

 にかっと笑いながら手を差し出して来る、日焼けボーイッシュの桐花に、苦笑し、絵の具まみれの手で差し出し返す。


岩咲(いわさき)笹子(ささこ)です。よろしくお願いします。モモさん」

「オッケー、ササね。で、なんでサクラが会員証を四枚持ってるかだっけ?」


 握手を交わし終えた頃、モモはしれっと椅子ごとササとサクラが座る席へと移動してきた。

「さ、ササ……。うん、そう、なんで桜夏(おうか)さんが会員証を四枚持ってるの?」

 いきなりアダ名で呼ばれたササは戸惑うもすぐに対応できたようで頷く。


「それはね。サクラは椎菜ファンクラブだけじゃなく、ここにいるカフェオンライン部、全員のファンクラブにはいってるから。因みにうちは、モカと姫乃のファンクラブ入ってる」

「な、なるほど……」


「調理スタッフのはキレイで格好いい。接客スタッフは愛くるしく可愛い。ま、どのファンクラブに入るかは悩んで入ったら良いってことよ。会費もただだしね。生徒会と報道部管轄のため、会員同士の争いは起きないのも良いとこよ」


 サクラは指をならし締め括る。

「へー、なら心配ないし安全だね。明日行こっと」


「ん。それが良いよ! じゃ、そろそろいこっか?」

「そだねー。部長が探しに来るかもだしねー」

「んじゃ、うちもそろそろ……」

 などを言い残し、三人はカフェオンライン部の部室を後にした。


  * * *


「ファンクラブ、か……」

 三紅は今の三人の席を片付けながら、そう呟き、悪魔めいた笑みを浮かべた。

今日はここまでとなります♪


次回は、明日の夜10時になります!

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