閑話 御伽噺――ある黄金狼のこと
アウレア・ルプス王は死の床でおっしゃいました。
「そなたに我が魔力を授ける。儂の死後もその魔力でウィレンティアを守ってくれ……」
ひとたび戦えば狼のように誇り高く強く、みごとな黄金の髪を持ち、輝くような治世を築いた黄金狼王。そのそばに生涯に渡って仕えた使い魔に、アウレア・ルプス王は最期の力を振り絞って、自らの残った魔力のすべてを与えました。
どの狼よりも大きく立派で、艶やかな月のような銀色の毛並みは、王の魔力をいただいて太陽のような黄金色に変わりました。黄金狼が見守る中で、ウィレンティアを守り栄えさせた王は息を引き取りました。
黄金狼は王の葬儀を見届けると、一声哀しげに鳴いた後、人々にこう告げました。
「我が主はアウレア・ルプス王ただひとり。二王に仕えることはできぬ。だが、主の最期の願いを聞き届けよう。アウレア・ルプス王の血筋が絶えるまで、この魔力をもって末永く、ウィレンティアを守ると誓う」
そのまま黄金狼の姿は掻き消えました。
人々の前から姿を消しましたが、忠実な使い魔は今でもウィレンティアを守っているそうです。
――『ウィレンティア童話集』収録「黄金狼王と黄金狼」より抜粋
次話から本編に戻ります。




