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トラカンド国の軍人達  作者: 黒い龍酸
8/11

外交官の潜入調査(後編)

「ここが、カジノ会場ね」

「ババアの情報通りなら、そうだろうな」

「でっけー・・・」


ハート、ジョーカー、ダイヤの目の前には、大理石で出来たカジノ会場。左右には永遠と流れる水と、下からライトで照らされキラキラと光る、埋め込まれた宝石たち、そして、よく手入れのされていた観葉植物たちがある。

いかにも豪華というよう言葉が似合う、その煌びやかな外見に関心を示す三人。


「なんか、一般の派手な賭博場より、ちょっと大きいって感じるだけで、そんな特に変なところは見当たないけど・・・」

「如何にも怪しいです、って感じだと下手に動けないだろ。即バレもいいところだ。・・・総統から送られてきたデータを見るに、ここではオーナーとのカジノ勝負、オーナーチャレンジっていうゲームをした大半の客がゲームをしたその日に行方を晦ましているらしい」

「オーナーチャレンジ?」


総統から支給された端末をスライドさせながら、ダイヤはオーナーチャレンジの存在、そしてカジノ会場で起こっている出来事を説明する。

ハートはダイヤの説明に耳を傾け、ジョーカーは興味なさげに頭の後ろをかいていた。


「あぁ。なんでも、ある条件を満たすとその場で招待されるシステムらしい。勝者には稼いだ金額の10倍の金額が支払われるらしいぞ。招待される条件の詳しい記載はないが、招待された大半の奴が大金を稼いだ奴らしい・・・」

「そんな話どーでもいいが、簡単に言えばそのオーナーチャレンジっつうやつをやれば分かる話だろ」

「そうね。まず目指すのはオーナーチャレンジに選ばれること。選ばれた場合は、そのゲームにあえて負けて現状を確認する。不正等があれば取り締まるってところかしら?」

「だな。・・・あ、ハート」


ジョーカーはハートを呼び止め、ズボンのポケットに手を入れ、何かを探す。

呼び止められたハートはくるりとジョーカーの方を向き、ダイヤは「先に行くぞ」と行って中に入っていった。

目的の物を見つけたのか、ジョーカーは手を握ったまま、もう片方の手でハートの手を取り、手のひらを上に向け、握った手をハートの手の上に置く。


「もしもの時の保険だ。持ってろ」


ジョーカーはそっと手を広げハートに渡す。

ハートはそれを見ると、フッと微笑んでジョーカーを見、ジョーカーがやったように手を取り、ジョーカーの手のひらにそれを乗せ、握らせる。


「私が持ってても意味ないわ。あんたが持ってたほうが有効活用出来るわよ」

「意味分かんねぇ。・・・が、何か策とかがあって言ってんなら、俺が持ってる」

「お願いね。・・・・・・さ、ダイヤと合流しましょ。あの子、もう先にやってるんじゃない?」

「カジノのルールは知ってても、あいつのことだから負けてるだろ」

「どうだか」


2人は少し笑ってカジノ会場へ向かっていった。



中は外装よりも遥かに豪華な造りになっていた。

一定間隔で吊るされているシャンデリア、中央には煌びやかで大きな噴水。甲冑。

そんな施設内には華やかなドレスやスーツに身を包み、娯楽を楽しむ人々、仮面を着けたディーラーがいる。


「中も派手ね」

「いつも行くバーの賭博場より派手だな」

「当たり前でしょ」


ジョーカーの一言に、ハートは少し苦笑いをする。

ジョーカーとハートが辺りを見渡してダイヤを探すと、少し離れた所にあるルーレットのコーナーで沢山のチップを台に積み、座っている椅子に片足を乗っけて考える素振りをするダイヤを発見する。

離れたのはたった数分だったのにも関わらず、大量にあるチップを見てハートとジョーカーは驚きを示す。

そしてダイヤのいるルーレットコーナーへ少し早足で向かう。


「黒の5に200」

「ちょっとダイヤ!このチップの量は何よ」

「あ?先に入って何もしないのはつまんなくって、適当にやったらこうなっただけだ」

「それにしては多過ぎるだろ。全勝しない限り集まらない量だぞ」

「俺を舐めるなよ。伊達に機械技師はやってない」


ダイヤは自身の頭をトントンと指でつついて自慢げに言う。そんなダイヤを見てジョーカーは態とらしくため息をつく。


「運関係なしかよ。しかも機械技師関係ねぇだろ」

「まぁまぁ。ダイヤ、その賭け終わったら別のところ行きましょ?」

「あー、了解」


そして、見事に勝ったダイヤは、また大量のチップを稼ぐ。

「お待たせ」と言ってダイヤは椅子から下り、ハートとジョーカーと共に行動する。

3人が次に訪れたのはトランプコーナー。


「ダイヤ見てたら任務関係なしにやりたくなってきちゃった。久々に私も楽しもうかしら。あそこでポーカーやってるみたいだし」

「まぁ、目的忘れてなければ好きにしろ。俺らは護衛だし、視界の範疇にはいてやるから」

「あら、せっかくなら後ろに居なさいよ。私、ポーカー結構得意なのよ?」

「必勝方学びたいから、俺が後ろに居る」

「残念だけど、必勝法はないわよ。でも、ある程度のコツなら分かるわよ」


ハートの提案に、ジョーカーは賛同する。

空いているポーカーのテーブルに行き、ハートは椅子に腰掛ける。

斜め後ろにジョーカーが待機し、ダイヤは少し離れた所にあるソファーに腰をかける。


「さぁ、潜入調査の幕開けよ」

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