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トラカンド国の軍人達  作者: 黒い龍酸
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外交官の潜入調査(中編)

「わー!お二人共かっこいいですー!」


クラブは目をキラキラ輝かせながら嬉嬉として目の前のダイヤとジョーカーを見る。


「ダイヤもジョーカーもなんか別人に見える!!すげー!マジックか!?」

「よく似合ってるわよ、二人共」

「嬉しくねぇよ」


総統は満足げにダイヤとジョーカーを褒める。スペードは「すげーすげー」と言いながらダイヤとジョーカーを様々な方向からじっくり見る。ダイヤは反抗するかのようにスペードと総統を睨む。

だが、スペードが驚くのも無理はない。何故ならダイヤとジョーカーはハートに連行され城下町へ買い物に出かけ、任務のためのスーツなどを購入し、着替えさせられた。

二人はスーツを着こなし、普段の数倍はしっかりして見える。

ジョーカーは普段はボサボサの髪をオールバックにし、スーツの上着の前は開いているものの普段からのやる気のなさは見えないレベルだ。ダイヤはジョーカーと対照的に黒いネクタイをして上着の前は閉めている。髪はいつものヘアピンで止めているが、いつもの格好に比べるとしっかりして見える。


「違うぞスペード、ハートが2人にスーツを無理やり着せて、カジノに行っても違和感がないようにしたんだ。マジックはしていないよ」

「お前もその無理やり着せるのを手伝ってただろ、エース」

「さぁ、なんのことだか」


ジョーカーが睨むとエースは意地悪そうにふふっと笑って誤魔化し、ジョーカーは小さく舌打ちをした。


「で、ハートはまだ着替えてんのかよ」

「あ、私見てきますー」


ダイヤは普段座っている椅子に座り、机に足を乗せてハートがいる部屋を見た。クラブはハートの様子を見に部屋に入っていった。


「ダイヤ、行儀悪いわよ」

「別にいいだろ。俺がいつも座ってるところなんだから」

「そういうことじゃないわよ」

「まぁまぁ。ダイヤ、机を傷つけないようにだけしてくれよ」

「乗せただけなら傷つかねえよ」

「ごめん、お待たせ」


総統はダイヤを困ったように見るが、ダイヤはそれを気にもせず部屋の方を見る。

ガチャというドアの開く音と共に赤いシンプルなドレスを着、髪をハーフアップにしたハートと、その後ろからヒョコッと顔を出すクラブがいた。


「わー!ハート大人っぽい!すっげー!!」

「カジノということで気合が入っているわね」

「当然よ」

「ハートさん綺麗ですー」

「メイクも少し変えたのか?」

「少しね」


ダイヤとジョーカー以外の幹部がハートの周りに集まり話しかける。ハートは嬉しそうにはにかむ。


「揃ったな。で、ババアはカジノで行われてるであろう取引ってのは何か知ってんのか」

「それが分からないのよね。だから調査をして欲しいって、・・・昼も言わなかったかしら?」

「聞く気がねぇ」

「聞いてないならまだしも、聞く気がないって・・・。あんたホント一回殴らせてくれない?」

「やれるもんならやってみろ。倍返しにしてやる」

「二人共、いい加減にしろ」

「一日何回喧嘩すれば気がするんだよお前ら・・・」

「仲いい証拠じゃね?」


ジョーカーが総統を煽り、総統がそれに反応した為喧嘩が起こりかけたがエースが二人の仲裁に入り、ダイヤは呆れながらため息をついた。


「ねぇ総統」

「なに?ハート」

「そのカジノって、〝アレ"がある可能性はあるの?」

「・・・・・恐らくね」


ハートは総統に問いかけた。総統はまっすぐハートを見て応える。

ハートは自分の左手首を右手で強く握る。ハートの様子は、何かに怯えているのか、少し震えていた。周りも何かを感じたのか、先ほどの空気と変わって少しだが、張り詰めた空気が流れる。

総統はダイヤとジョーカーの方を見て、二人に声をかける。


「ダイヤ、ジョーカー。もしハートに何かあったら、助けてあげてね」

「言われなくても分かってる」

「ババアは心配性かよ」

「次ババアって言ったら斬るわよ」

「やってみろよ。やったことないくせに」

「煽るなバカ」

「いてっ」


ジョーカーが煽ると、ダイヤがジョーカーの頭を殴る。ジョーカーは殴られたところを、髪が崩れない程度にさする。

ハートはその光景を見てどこか安心したのか、ふっと笑う。


「何かあったら通信機で知らせればいい?」

「いや、今回はこれを使え」


ダイヤはズボンのポケットからオレンジとピンクと黒色のブローチと銀色のイヤーカフを3つ取り出す。


「これは?」

「いつか使えるだろうと思って作ったブローチ型のカメラつきマイクとイヤーカフ型のスピーカー。色はさっきつけた。ピンクはハートのやつ。黒はジョーカーのだ」

「用意がいいな」

「たまたま暇だったから作ってただけだ」

「ダイヤー、俺のはー?」

「ない。試作だし、お前壊すし今回の任務はお前関係ないし」

「あっそっか!」


ダイヤはジョーカーとハートにそれぞれのブローチとイヤーカフを渡す。

ダイヤとジョーカーとハートはそれぞれスーツやドレスの違和感が無いであろう場所にブローチを付け、イヤーカフを耳に付ける。

総統は三人の準備ができたことを確認し、三人に向かって敬礼をする。


「準備が出来たようね。じゃ、いってらっしゃい」

「行ってきます」


ハート、ダイヤ、ジョーカーは総統に敬礼をする。そして、カジノの場所へと向かった。

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