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犬の恩返し  作者: あいまり
白田仔犬編
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第12話 意識

 晩ご飯を食べ終えると、美雪は勉強を始めた。

 最初は私にも教えようとしてくれていたが、神様によって基本全ての知識が入っている私にはいらなかった。

 だから、勉強している美雪を見ていたのだけれど……やはり、美雪はいつ見ても綺麗だなぁ……。

 真剣な表情で教科書を見つつ、問題を解く美雪。

 その顔を見るだけで、私は胸が熱くなった。

 美雪のその顔を見ているだけで、何もしなくても、何時間でもジッとしていられた。


「ふぅ……」


 しばらくして、美雪は息をついてペンを置き、前髪を掻き上げた。

 どうやら勉強が終わった様子で、美雪は私を見て微笑んだ。


「シロ。お風呂入ろっか」


 他愛のない雑談のように言う美雪。

 彼女の言葉に私は、まず自分の耳を疑った。

 だから、私は必死に平静を取り繕って、聞き返す。


「おふろ?」

「うん。シロお風呂入るの初めてでしょ? 色々また教えたりしないと……」

「美雪とお風呂!?」


 聞き間違いじゃなかった!

 私はすぐに立ち上がり、湧き上がる喜びを逃がすようにその場で軽くジャンプをする。

 しかし、そんなことをしている場合ではないので、着替えを用意してくれた美雪と共に一階に下りる。

 廊下を歩いていると、前から風呂上がりらしき風貌をした美香ちゃんと出会った。

 彼女はギョッとした顔で、私と美雪を何度か見た。


「え、は……お姉ちゃん達、もしかして、一緒入るの!?」

「えっ……そうだけど?」


 そう返す美雪に、美香ちゃんはさらに大きく目を見開いた。

 それから私と美雪を交互に見て、目を伏せた。


「……お姉ちゃんは本当に無自覚なの……?」


 小さい声で、そう呟いた。

 私の聴覚が良かったから聴こえただけで、美雪には聴こえなかった様子。

 美香ちゃんは、それっきり何も言わずに、部屋に戻った。


 ……やはり、美雪のことが好きなのだろうか。

 私は一人考える。

 しかし、まだ確実とは言えない。

 もっとこう……キチンとした証拠が欲しい。


「何アイツ……」

「美雪~。早くお風呂入ろ?」


 ただ、美香ちゃんを気に掛けている美雪が少し気に食わなかったので、私は美雪を急かした。

 すると美雪は「う、うん……」と頷き、すぐに私を浴室に案内してくれた。

 それからは特に何事もなく、美雪に服を脱がしてもらい、浴室に入った。


 ……いや、何事もないわけない。

 正直に言うと、なんか語彙力が死ぬくらいにはヤバかった。

 必死に平静を保ちつつ演技を続けるだけで精一杯だった。

 だって、美雪に脱がされて、裸にされるんだよ!?

 もう体が熱を持ち、頭が終始クラクラしてしまった。


 しかし……と、私は目の前でシャンプーの残量を確認している美雪を見る。

 私と違って、彼女はやはり意識なんてしてくれなかったのではないか。

 それこそ、私は今ですら、彼女の裸に今すぐにでものぼせそうなくらい意識してしまっている。

 でも、美雪は……?

 美雪は私の裸を見て、何か……感じてくれていないのかな。


「美雪……」

「ん~……二回分はありそうだね。よし、シロ。座って」


 そう言って椅子を示す美雪。

 彼女の言葉に、私は笑って見せる。


「うん。えへへっ、美雪とお風呂~」


 虚しさを誤魔化すようにそう言いながら、私は美雪に示された椅子に腰かけた。

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