第3話 発見
「ふぅ……」
本を借り終えて図書室から出ると、私はため息をつく。
そして、今朝のSHRでの出来事を思い出した。
『だからぁ、昔美雪に飼われていた、白犬シロだよ!』
転校してきたばかりの白田さんの挨拶。
それに対し、岡井さんは珍しくかなり驚いたのだ。
あの岡井さんが、だ。
結局先生のフォローによりあの件は無かったことになったが、やはり気に掛かる。
美雪とは、岡井さんのことだろう。
岡井さんに飼われていた白犬? シロ?
そもそも彼女達の関係性とは?
グルグルと思考を巡らせつつ廊下を歩いていた時だった。
「つ……う……?」
「……いや……から……の……えし……」
どこからか声が聴こえ、私は立ち止まる。
ふと顔を上げると、そこは階段のすぐ傍だった。
……階段横の細い路地の奥の、外へ続く扉。
その扉にはめ込まれたすりガラスの向こう側に人影が見える。
不思議に思った私は、好奇心から扉に近づき、ゆっくりと開けた。
「あら? 話し声が聴こえると思ったら……」
「黒田さん!」
そこには、ちょうど私が気になっていた岡井さんと白田さんが立っていた。
岡井さんは驚いたように目を丸くして私を見ていて、白田さんはそんな岡井さんをジッと見ている。
ふむ……この二人か……。
まぁ、朝のSHRから二人が話していてもおかしくはないが……。
ひとまずそろそろ授業が始まるので、そのことだけ伝えて教室に戻ろう。
「もうそろそろ、授業が始まりますよ?」
「あ、そっか……って、わざわざ迎えに来たの?」
「いえ、ちょうど図書館から戻るところだったんです。そうしたら、話し声が聴こえたので」
「そういうこと……ごめんね、わざわざ迎えに来てもらって」
「いえいえ。では、お先に」
事務的な会話。
しかし、その会話の中で、二つ気付いた点がある。
まず一つ目。
岡井さんの表情がいつも以上に感情豊かに変わっていたこと。
原因としては、恐らく白田さんだろう。
彼女達の関係性は分からないが、親しい仲であることは分かる。
二つ目。
白田さんが……岡井さんに恋情を抱いていること。
それも、かなり病的なほどに。
だって、私が岡井さんと話している間、ずっと私のことを睨んでいたから。
まぁ、これらの点から考えるに……恐らく、二人は両想いだ。
ただ、岡井さんはそれに関して無自覚のようだが。
白田さんは……自覚している可能性が高い。
というか、嫉妬深そう。
……まぁ、私には関係ないか。
元々岡井さんとの接点なんて無いし。
ひとまず、あの二人とは関わらないようにしよう。
そう、一人心に決めた。




