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犬の恩返し  作者: あいまり
岡井美雪編
34/132

第34話 告白

 さて問題です。

 現在貴方は、観覧車のゴンドラの中にいます。

 狭い密室のような場所に、気になっている美少女と二人きりだとします。

 さて、この時貴方の心情はどうなるでしょうか。


「答えすら考えられない……」

「はい?」


 自分で自分に出した問題に模範解答を見つけ出していると、クロが不思議そうに首を傾げた。

 流石に現実逃避しすぎたか。

 私は「なんでもないよ」と言いつつ笑い、向き直る。


「それにしても、まさか美雪さんと乗ることになるとは思ってもいませんでした」

「あはは……私も。……クロは、私と二人きりは嫌?」

「いえ、全然。むしろ、白田さんはすごく元気な方ですから、一緒に乗ったら疲れそうだなぁって思っていました」

「あー……確かに」


 そう言いつつ、私は下の方に見えるゴンドラに視線を向ける。

 きっとあそこに、シロと美香が乗っている。

 ……大丈夫かなぁ、美香。

 シロのハイテンションに気後れしてないかなぁ。

 いや、あの子なら大丈夫か。シロのこと好きみたいだし。

 好きな人のすることは基本何でも許せるものだしね。大丈夫大丈夫。


「……今日はありがとうございます」


 その時、クロがそう言って来た。

 顔を上げると、そこには、緩く微笑んでこちらを見ているクロの姿があった。


「クロ?」

「……まず、遊園地に誘ってくれたことと……あと、美雪さんのおかげで、今日はとても楽しかったです」

「大袈裟だなぁ」

「いえ、大袈裟ではありません。……生まれて初めて来た遊園地を楽しめたのは、美雪さんのおかげだと思います」


 改めてそういうこと言われると照れてしまう。

 私は照れ隠しに頬を掻きつつ笑い、少し姿勢を正した。


「私の方こそ、今日はありがとう。ジェットコースターで酔っちゃった時、一緒に休んでくれたり、色々お世話になっちゃったし」

「私と美雪さんはお友達でしょう? それくらい当然です」

「……そうだね」


 そう呟いてから、私は俯いた。

 友達、か……。

 ……って、何を期待しているんだ、私は。

 私とクロは友達。それでも厚かましいというのに……私は、それ以上になりたがっている?


「……美雪さん」


 自分の気持ちに疑問を抱いていた時、クロに名前を呼ばれた。

 見ると、クロは真剣な眼差しで私を見ていた。


「クロ……?」

「……こんなこと言ったら変だと思うんですけど……」


 そこまで言うと、クロは一度深呼吸をして、続けた。


「私は……美雪さんと、友達以上の関係になりたいです」


 ……。

 ……。

 ……?


「へ……?」

「だ、だから……その……」


 顔を赤くして、恥ずかしそうに視線を逸らすクロ。

 嘘、だよね……?

 そんな、夢みたいなことが……あっても、良いの?

 放心していると、クロは真剣な目で私を見て、続けた。


「美雪さん。私の……恋人になってください」

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