第34話 告白
さて問題です。
現在貴方は、観覧車のゴンドラの中にいます。
狭い密室のような場所に、気になっている美少女と二人きりだとします。
さて、この時貴方の心情はどうなるでしょうか。
「答えすら考えられない……」
「はい?」
自分で自分に出した問題に模範解答を見つけ出していると、クロが不思議そうに首を傾げた。
流石に現実逃避しすぎたか。
私は「なんでもないよ」と言いつつ笑い、向き直る。
「それにしても、まさか美雪さんと乗ることになるとは思ってもいませんでした」
「あはは……私も。……クロは、私と二人きりは嫌?」
「いえ、全然。むしろ、白田さんはすごく元気な方ですから、一緒に乗ったら疲れそうだなぁって思っていました」
「あー……確かに」
そう言いつつ、私は下の方に見えるゴンドラに視線を向ける。
きっとあそこに、シロと美香が乗っている。
……大丈夫かなぁ、美香。
シロのハイテンションに気後れしてないかなぁ。
いや、あの子なら大丈夫か。シロのこと好きみたいだし。
好きな人のすることは基本何でも許せるものだしね。大丈夫大丈夫。
「……今日はありがとうございます」
その時、クロがそう言って来た。
顔を上げると、そこには、緩く微笑んでこちらを見ているクロの姿があった。
「クロ?」
「……まず、遊園地に誘ってくれたことと……あと、美雪さんのおかげで、今日はとても楽しかったです」
「大袈裟だなぁ」
「いえ、大袈裟ではありません。……生まれて初めて来た遊園地を楽しめたのは、美雪さんのおかげだと思います」
改めてそういうこと言われると照れてしまう。
私は照れ隠しに頬を掻きつつ笑い、少し姿勢を正した。
「私の方こそ、今日はありがとう。ジェットコースターで酔っちゃった時、一緒に休んでくれたり、色々お世話になっちゃったし」
「私と美雪さんはお友達でしょう? それくらい当然です」
「……そうだね」
そう呟いてから、私は俯いた。
友達、か……。
……って、何を期待しているんだ、私は。
私とクロは友達。それでも厚かましいというのに……私は、それ以上になりたがっている?
「……美雪さん」
自分の気持ちに疑問を抱いていた時、クロに名前を呼ばれた。
見ると、クロは真剣な眼差しで私を見ていた。
「クロ……?」
「……こんなこと言ったら変だと思うんですけど……」
そこまで言うと、クロは一度深呼吸をして、続けた。
「私は……美雪さんと、友達以上の関係になりたいです」
……。
……。
……?
「へ……?」
「だ、だから……その……」
顔を赤くして、恥ずかしそうに視線を逸らすクロ。
嘘、だよね……?
そんな、夢みたいなことが……あっても、良いの?
放心していると、クロは真剣な目で私を見て、続けた。
「美雪さん。私の……恋人になってください」




