第29話 面倒事
あれからクロと週末の予定を話し合い、帰宅した。
クロ曰く、人生で初めて行く遊園地に私と二人で行くことは、楽しみであると同時に不安でもあるらしい。
まぁ、彼女からすれば遊園地がどういう場所なのかイマイチ分からないだろうから。
しかし、スマホやテレビを見ているし、色々な創作物でも出てくる場所ではあるから、大体は察知しているようだ。
とはいえ、やはり、初めて行く場所は不安であるようだ。
私がいる分そこは安心できるようだが、例えば、変な男に絡まれたらどうしようとか、そういう不安があるらしい。
まぁ、確かにそれはあるかもしれない。
女子高生二人だし、クロは物凄く美人だから、よく分からない男に絡まれてそのまま色々と面倒事に巻き込まれる可能性がある。
十八歳未満には見せられない面倒事に。
だからこそ、人数は確保しておきたかった。
男友達なんて都合の良い存在は無いが、多少の人数は確保できる。
例えばシロとか。
三人だとまだ心もとない。シロも美少女だし。
というわけで、私は帰宅してから、もう一人の候補の元に行くため階段を上がった。
「美香~」
扉をノックしながら声を掛ける。
すでに美香が帰って来ていることは、玄関にあった下足で確認済みだ。
もし出てこなかったらシロを使うまでだ。
しかし、予想に反し、あっさり美香は出て来た。
「……何?」
扉から顔だけ出し、そう聞いてくる美香。
私は辺りを見渡してシロが近くにいないことを確認し、小声で彼女に囁く。
「実は、今度の週末に、シロと遊園地に行くんだけど」
「はぁッ!?」
大きな声をあげて驚く美香の体を押し、彼女の部屋に押し込む。
慌てて扉を閉め、私は叫んだ。
「大きな声出さないでよ! シロに聞かれたらどうすんの!」
「だ、だって……」
そう言ってしょんぼりする美香に、私は口を噤む。
まぁ、美香だってシロのことが好きなわけだし、突然デート報告なんてされたら驚くか。
私にも非があったわけだし、ここで怒るわけにはいかない。
ため息をつきながら頭をガリガリと掻き、私は美香を見る。
「……その週末の遊園地には、私の友達も来る」
「……」
「…………私は、その子のことが好き。シロは、あくまで私とその子の間を取り持ってくれているだけ」
私の言葉に、美香はハッと顔を上げた。
ひとまずこれで説得は完了したようなものか。
「それで、その子と三人で行く予定だけど、そうなるとシロが一人ぼっちになる可能性があるかなって。だから、美香も一緒に……」
「行く!」
即答。行間すら空けない迷いの無さ。
クロも二人だけだと不安だと言っていたし、美香が増えることは快く了承してくれるだろう。
後で連絡を入れてみるが、美香がクロに何か危害を与えたりしていない限り承諾してもらえるはずだ。
シロは……嫌がるわけないか。
浮かれてる美香を放っておいて、私は部屋を出て、すぐにスマホを取り出しクロに連絡を入れようとする。
そこでとあることに気付き、私は苦笑した。
何が浮かれてる美香、だ。
なんだかんだで、私も遊園地を楽しみにしているじゃないか。




