0省 プロローグ
“オタク”それは何かを愛してやまない人たちの総称である。
各々が金や時間を捧げることにより、喜怒哀楽の感情や時に生きる理由までもを与えてくれる。それはアイドルなどの人間や、電車やバスなどの乗り物。ゲーム、漫画、アニメなどの作品に至るまで実に多種多様である。そのオタクの愛は時に、人の人生をも変えてしまう。そして今まさにアニメを見ようとしているこの男、矢野琉一も例外ではなかった。
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桜の花びらがひらひらと舞い降りるこの季節。公園や河川敷には、たくさんの出店が店を構え発電機をブゥォンブゥォンと鳴らし、それに張り合うかのように花見客は、ブルーシートの上で騒ぎながら飯を食べ、酒を飲む。そんな姿を横目で見ながら自転車を走らせる。今日は自分が今期アニメで一番推している、アニメの2話の放送日である。忌々しきバイト様のおかげで、リアタイを逃したが録画をしていたので安心だ。いつもはバイト先から家まで自転車で15分ほどでつくが、今日は花見客で公園付近の道路が混んでいたため20分ほどかかってしまった。
「はぁー」
重く深いため息をつき自分の部屋の椅子に座り、すぐさま録画を再生する。そしてあっという間にAパートが終わりコマーシャルが流れ始める。いつもならとばすのだが、今日はOPからEDまで丸々見たい気分だったのでリモコンには手を触れず視聴を続ける。
(”みんなー!私たちのDVD&BDの発売日が決定したよ~、、、”)
自分の推しキャラによる円盤CMが流れ思わず口がにやつく。
(”発売日わ~5月の~、、、”)
金が足りるかわからないが、一応カレンダーにメモをとる。そもそもアルバイトと親のわずかな施しにより、生計を立てている琉一が円盤を買うのは無理があるのだが。
「あの時会社辞めてなければ円盤も買えてたのかな」
「まー、あんなブラックな所で働き続けてたら今頃死んでるんだろうけど」
ふと回想にふけっていると、テレビからみたことのないコマーシャルが流れ始めた。
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