精霊の名は
召喚された守護精霊の正体は
一人の精霊が、侵入してきた人型の魔物と対峙する。
見目麗しいその精霊が持つは、見事な彫刻の一振りの剣。
白く冷たい光を放つその剣からは神剣と呼ばれるにふさわしい何かを感じる。
対する相手が持つは一振りの刀。
業物であったと思われるそれにはしかし、無数の刃ころびが見られ、禍々しいまでの黒を纏っている。
1合、2合…
と斬り結ぶ。
豪壮でいて優美な太刀筋は、相手を大きく凌駕する。
キーーーンと甲高い音が鳴り響く。
相手の武器を───が払い落としたのだ。
相手は大きくよろめき膝をつく。
それを無情に見下ろす───。
その瞳には何の感情も浮かんでいない。
自らの剣を上段に構え、振り下ろす。
返り血を浴びてもなお、彼の瞳には、欠片ほどの感情も浮かばない。
「───!」
不意に───を呼ぶような少女の声が聞こえた。
何も写してはいなかった───の瞳には、その瞬間から恍惚とした光が宿る。
「嗚呼、我が主よ。」
そう呟いた瞬間、───は異界、人間界へと参じる。
精霊界最強と言われ、次期頭領の座を約束され、もはや何の楽しみも見いだせなくなった者。
名はフェリウス。
平凡を望んだ非凡な少女の、最初の守護精霊である。
後に を見たものはこう言った。
その者の主である少女に惹かれ、自らも守護精霊になりたい、と名乗りをあげる他の精霊たちを威嚇する様はまるで───
『忠犬』だ、と。
普通は召喚されようとも人格変わりません。
こいつが変態なだけです(^-^;)