表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ゆとり世代による文字の羅列

蒸機たらん

作者: 9600

 例えるなら自分は蒸気機関車だ。妙に蒸気が上がらない日がある。いつもできることが急に出来なくなる。いつもできないことがいきなりできることも在る。特に天気が悪い日に蒸気が上がらないのも、始動性が悪いのも自分にそっくりだ。熱効率が5%を切るところも空回りばかりの自分らしい。日本の蒸機は煤の多い国産石炭を前提として黒く塗られているのなど、この自分の雰囲気にぴったりだ。

 自分を例えるなら、9600形あたりがふさわしいだろうか。馬力もそんなに大きくないし、古めかしさばかりが目立つ大正に生まれた機関車だ。特にこれといった華も無い。自分は平成の生まれだが不思議とこの機関車に惹かれるものがある。もちろん轢かれたことも牽かれたことも無い、ハズだ。前世とかがあるならそちらではあったのかもしれない。

 蒸気機関車は石炭を焚いて蒸気を沸かし、それで走る。ごうごうと煤煙を吐きながら、無駄な熱を放出しながら。自分の場合この石炭に当るのは魂であろうか。これを燃やしながら、日々の活力という蒸気を沸かし、無駄な言葉や考えをまき散らしながら突っ走ってゆくのである。決して夢や希望、情熱を燃料とはしていない。夢や希望は時刻表。次の目的に何時に着けばよいか教えてくれる。情熱は時計だ。その為にどう走ればよいか考えさせてくれる。そうして日々生きているのだ。

 君は一体何なのかい?自分と同じ蒸気機関車か?それとも電車?自動車?はたまた飛行機?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  僕は電車ですね。でも爆発しかけの電車です。いつ脱線するか分からない危ない車掌が乗っています。  文体です。何だか、語り人がいる感じですね。この文章には。
2016/09/03 16:54 退会済み
管理
[一言] ゆとりですね。私もゆとりです。同じゆとりでもこんなに違うんだなと思いました。凄いです。ありがとうございます。
2016/09/03 16:20 退会済み
管理
[良い点] うん。すごく良かった。 大正の機関車に惹かれるとは、なかなか渋いですね。 短い文章の中から、味のある、重みのある人物だと想像できました。 [一言] 私は自転車です。 電気も石炭もいりません…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ