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邪神の去り際 3

 昼頃、二人はフルーツを買いに町へ出た。

 邪神があれだけ大暴れした後ではあるが、死者が出ていないからか、町の様子は落ち着いていた。

 壊れた建物も少ないし、もともと裕福な地域なので復旧も早いだろう。


 カルブが露天の品々を吟味している間に、ツタンカーメンは高度を上げてテーベを見渡した。

 町も王宮も、悪霊をセト神にごっそり吸いつくされたおかげでスッキリしていた。


 王宮のバルコニーでアンケセナーメンが心地良さそうに風の音を聞いていた。

 セト神は、結果的にだが、悪霊から王妃を守るという約束は果たしてくれたのだ。


「カルブー! レタスも買っといてー!」

「クレープに入れるんですかー? 味が合わないと思いますよー!」

「んにゃ、ただのおそなえ用ー!」

 レタスはイノブタ頭のセト神の好物である。



 街角の立ち話では、昨日のアレは何だったのかと、さまざまな憶測が飛び交っていた。

 みんなの日頃の信心が足りないせいで悪いモノを招いたのだと怒る人。

 いや、みんなの信心が篤いからこそあの程度の被害で済んだのだと笑う人。

 どちらも正解ではあるが、前者の人の周りには、セト神がせっかく吸っていった悪霊が早くも戻り始めていた。



 アンケセナーメンのバルコニーに、アイとホレムヘブが出てきた。

 ツタンカーメンの側近だった、老神官と中年の将軍。

 二人の背後に、一体だけだが、闇のような漆黒の悪霊が見えた。

 悪霊は王妃には近づけず、側近達の陰に隠れた。

(二人のうちのどっちに憑いているんだ?)

 ツタンカーメンが確かめようとすると、悪霊はパッと姿を消した。


 セト神はオシリス神話では悪者ですが、太陽神ラーとは仲良しで、他の神話では屈強な戦の神として国境を警備したり太陽の船を守ったりもしています。


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