プロローグ2
プロローグの続きです。本当は1と一緒に投稿したかったんですが、こちらの都合上分けての投稿になります。
事件はいつ起こるかわからないというが全くその通りだと西園寺煌斗は思う。なぜそう思ったのかと聞かれると答えは単純だ。実際に事件が起こったから。
そう、起こってしまった。いつもの不良に絡まれるということではない。もっとややこしい、そしてめんどくさいことだ。
「私は生徒会長の神楽木桜花だ。突然だが、生徒会に入らないか? 人手が足りなくてね。君に入ってほしいんだ。ほら、何かとこの学校は行事が多いから大変なんだ。入ってもらうと助かるというか入れ。これは命令だ」
シワ一つ無い制服を身にまとい、さらさらした長い髪を腰のあたりまで伸ばした姿は清楚の一言では表せない何かを感じさせ、ふんわりといい香りを放っている超絶美少女が何かおかしなことを言った。その傍らでは髪の長い女性より身長の低い、おそらく百四十センチ前後の(ちっちゃい)少女が煌斗の顔をちらっと見るやあからさまに嫌な顔をし、両腕をこすっている。
…………何言ってんだ?このクソアマ。
思考がフリーズする。そしてそのまま数秒が経過し、ようやく煌斗はフリーズした頭をフル回転させ、考える。
―まて落ち着け焦るな。まずこの長い髪の女はなんて言った? 生徒会? 俺が? ありえん。俺を入れるメリットがないだろって命令っつってたっけ。命令ね。命令か。ふむ。
余計分かんなくなった。
「おい、ふざけんな。そもそも俺を生徒会とやらに入れる意味がわかんねえ」
と煌斗が言ったあとすぐに長い髪の女の隣にいる(ちっちゃい)少女が噛み付くように煌斗の方を指差した。
「会長! やっぱりやめましょうよこんな人間のクズで、ゴミで、害悪で、最悪で、凶暴で、強欲で、最低で、生きてる価値もないような不良を生徒会に入れるなんて!!! どうせ何もできないで放り出すに決まってます」
ものすごい罵倒を堂々と大声で言い切った少女にある意味関心を抱きつつ、煌斗は黙って少女の方を見ていた。するとその視線に気づいた少女はまたも大声で、
「こっち見んな変態!」
ゴミを見るような目で見られ、またしても罵倒された。もう関心を通り越して呆れてきた。
平和的解決ができないと踏んだ煌斗は少女の方を無視して、髪の長い女をみる。すると長い髪の女は少々顔を引きつっていた。どうやら長い髪の女もとい会長?は暴言をやたらと吐いた少女に若干引いたようだ。
会長は引きつった笑顔のまま煌斗の方を向く。
「悪いな。加奈は不良が苦手なんだ。それこそ蕁麻疹が出るほどにな。普段はいい子なんだが……」
だから両腕をこすっていたのか。
少しばかり納得した煌斗は気を取り直しさっきの質問をもう一度しようと口を開くより先に会長?は答えた。
「さっき、生徒会に入いる意味がわからないといったな? 理由は二つある。一つはさっき言った人手不足。そしてもう一つは君に普通の高校生活を送らせることだ」
「は?」
「つまりだな、『授業に出るくせに喧嘩ばっかしやがって。普通に授業に出るんなら喧嘩ばっかして不良の真似事してねえで普通に高校生活を謳歌しやがれクソ野郎』という校長先生のお言葉通りに生徒会で高校生活を謳歌させようと思ったわけだ」
そしてこの何言ってるかわからないクソ会長もどきは胸を張り堂々と言った。
「題して! 『悲しい不良もどきちゃんに青春というものを教えてやろう大作戦!』」
再びの思考停止。もうなんだかわからない煌斗はただ一つ、こう思った。
―学校のトップが馬鹿なら生徒のトップも馬鹿なんだな。
次話は月曜日あたりかもしれません。体育祭があるので。