プロローグ
先に謝ります。すみません。そして報告を一つ。小説『俺とお前』大幅に内容変更します。
私立太陽高校。総生徒数三千人程度で、日本全国でも有名な高校だ。だが、有名と言っても学力がかなり高いということではない。学校行事が多彩ということで有名なのだ。例えば『男女ペアによるドキドキ! 大運動会!』や、『男達による、男達のための肝試し』など、変な行事で溢れかえっている。
そんな学校の一角。ほとんどの生徒が行かないようなところに男たちの野太い声が響いている。
「まてゴラ厨房! この落とし前はきっちり取らせてもらうぜこの野郎!」
「…………………………」
「シカトかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁァァァァァァァ!!!!」
大勢の男たちが制服の上に赤色のパーカーを着た一人の少年をまっしぐらに追いかけていた。男たちが息切れしているのに対し、少年はほとんど息を切らしていない。むしろ悠々(ゆうゆう)としている。
少年はコンクリートの壁を前に止まり、男たちの方に振り返る。
「ハア、ハア、ハアァ」
「よう、随分と息切らしてんな」
「う、うるせえぞ、ヘタレ野郎……」
「ヘタレだと? ふん、よくもまあそんな大口叩けるもんだ」
赤色のパーカーを着た少年は頭を右手で掻きむしり、つまらなさそうな調子で呟く。
「めんどくせぇが……仕方ねえな」
そう言って少年は地面を強く蹴り、男たちとの距離を詰める。
「くたばりな」
時間にして数十秒。一瞬にして地獄絵図の完成を迎えた。
「あーあ。遅れちまうよ、授業」
見るのもおぞましい光景を前に少年は深い溜息をつきつつ教室へ足を運ぶ。その一部始終を影から見ていた『誰か』が誰にも聞こえないような声でボソリと確かに呟いた。
「やっぱり不良なんてこんなもんよ。うん、みんな同じ。不良なんていなくなっちゃえばいいのに」
先ほど不良をなぎ倒した西園寺煌斗はガラリ、と教室のドアを開け、自分の席にまっすぐ突き進む。煌斗の席は一番窓側の一番後ろ。そこは学生にとって喉から手が出るほど手に入れたい席と言っても過言ではないだろう。そんな席に一つのグループが集まっていた。がやがやと何やら騒いでいるようだ。煌斗は騒いでいるグループを鬱陶しく思いつつ、そのまま席に向かう。
「おい、そこ俺の席なんだけど」
「別にいいじゃねえか――って煌斗ぉ!?」
さっきまで談笑していた少年は煌斗を見た瞬間に素っ頓狂な声を上げる。 ……どうやら煌斗はクラスのみんなから怯えられているらしい。なんだか不便である。
だが煌斗は怯えられていることにも目も呉れず空いた席に座り込む。そして頬杖を付き、窓の外を眺める。さっきまでいた少年たちはいつの間にか別の席に移動していた。
それから数分後。先生が来たことにより教室が静かになり、授業が始まる。科目は世界史だ。煌斗は真面目に授業を受け、その時間を過ごした。