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自分の置かれた状況が理解できないまま、俺は海山に連れられホテルの一室に身を置く事になる。
気が付くと海山は服を脱ぎ、そしてシャワー室に入っていく。
まだ何が起こっているのかさっぱり解らず、海山がシャワーを浴びている間俺は、ソファーに座り海水で濡れ、湿気たタバコに火をつける。
シャワーが海山の身体にあたる音が聞こえる、その音が聞こえている間俺は自分の身に何が起こっているか改めて考え直してみるが、さっぱり解らず混乱するばかりだった。
しばらくすると、蛇口を捻る音と共に水を弾く音が弱くなり終いには浴室から水を弾く音が止まる。
しばらくして、水に濡れた髪もそのままに海山が浴室からバスタオル一枚を身体に纏っただけの姿で出てくる。
タオルを身体ピッタリに纏った海山の姿は細身だが胸はでており、腰はしまっている。
病的なまでの白い肌と相まってまるでその姿は美術館から抜け出してきた彫刻のようにも思えた。
まだ目の前の光景が信じられないでいる俺の方に海山は歩み寄り、俺に声を掛ける。
「安山君もシャワー浴びたら?身体冷えてるでしょ」
海山はそう言って浴室から出て、俺の座っている横に腰掛ける。
まともに海山の姿が見れないでいる俺は、その場を逃げるかのように「そ、そうだな。じゃ、じゃあ俺もシャワー浴びてこようかな」そう言い残し急いで浴室に向かう。
浴室に入り、服を脱ぎ捨て今まで海山がシャワーを浴びていた浴室に踏み入れる。
そこはまだ湿気が籠り微かにシャンプーの匂いが残っている。
俺は蛇口を捻り、シャワーからお湯を湧き出させ、冷え切った身体を熱いお湯で温めなおす。
熱いお湯を頭からかぶり続け、頭の中が空っぽの状態に近付きシャワーから流れるお湯と一緒に混乱とかその他いろいろな物を排水溝に流しきってしまうとようやく浴室を出る事が出来た。
浴室を出て寝室に向かうと部屋は薄暗くなっており、海山はベッドの中に潜り込んでいた。
寝ているのだろうか?そう思い俺は海山の潜り込んでいるベッドに近付き、そっと海山の表情を覗き込もうと顔を海山に近づけた。
すると、まるでそのタイミングを狙っていたかのように海山の両手が俺の身体を引き寄せ、それに抵抗する間も無く、俺はベッドの中に引きこまれる。
海山は俺の身体に跨り、身体の自由を半ば奪い取ると海山の顔が俺の顔に近付きそのまま俺の唇に彼女の唇を重ね、ヌラりとしたその舌を俺の口の中に押し込んでくる。
初めてのキスに俺は頭の中が真っ白になり、唇の感覚も解らないまま、ただなすがままに海山の舌を受け入れる。
しばらく濃厚なキスをした後、唇から首筋と、その舌先を俺の下半身に滑らせる。
キスをしてから俺の頭の中は真っ白で、この状況が現実に起こっている事なのか解らないまま混乱していると、突然俺の身体を今まで味わったことが無いような感覚が、全身を痺れさせるように下半身から身体全体に響き渡る。
初めてのその甘いような感覚に思わず俺は声を漏らしてしまう。
そして海山の方を見ると、海山も淫らな笑みを浮かべ俺の顔を見ている。
海山のその淫らな微笑みは俺の気持ちを昂らせ、そのまま俺も快楽の渦の中に引きこまれていく。
それからしばらくの間、海山は俺の身体を求め、そして俺も海山の身体を貪る様に求めた。
少し暗い部屋の中で、海山は俺の上に跨った状態で快楽に溺れ、恍惚とした表情でその長く黒い、まだ渇ききらない髪を振り乱しながら永遠とも思えるくらい長い時間、俺と海山はお互いの身体を求め続けた。
どれくらいの間、俺と海山は交わっていたのか、俺は疲れ果て少し眠ってしまったようで、ふと目覚めて時計を見ると時計はもう深夜に近い時間を指していた。
終電に間に合うかどうかという時間だろう、俺は家に帰らない事もしばしばあるが海山はそうもいかないだろう。
そう思った俺は疲れ果て、横で眠る海山の身体を揺り動かし声を掛ける。
「海山、海山。帰らなくてもいいのか?もう終電がなくなるぞ」
しかし疲れ切っているのか、海山は寝ぼけたように返事をするだけで起きようとしない。
俺は海山を起こすのを諦め、彼女の眠るベッドからそっと抜け出しソファーに腰掛けテーブルの上に置いたあるタバコを取り、そこから一本取り出し火をつける。
一日に一、二本吸うだけのタバコが今日はやけに減るのが早い。
しばらくはソファーに座ってタバコを吸っていたが、海山は起きる気配を見せない、仕方ないので俺は海山の眠るベッドにもう一度潜り込み俺も眠りについた。




