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扉を抜けるとそこは別世界だった。
……何ここ? 地上?
扉を抜けると山の中腹あたりだ。
間違うのも無理はない、草木は青々と茂り深い森となっている。
小鳥のさえずりが聞こえて、その世界は地上と何ら変わりがないのだ。
西の空には太陽が沈みかけ、夕焼けが見える。
私が想像していた魔界とはかけ離れている。
魔界と言うからにはオドロオドロシていて闇に包まれた世界だろうと勝手に想像していたのだ。
一通り地上と違うところがないか見て回るが、まったく地上と変わりない。
それどころか、むしろ自然が多いくらいだ。
「どうじゃ、異世界に来た感想は?」
リーンがホイヤーさんにお姫様抱っこしてもらいながら聞いてきた。
「どうと言われても……ここは地上に出たんじゃないのか?」
レモンも同じ疑問を口にした。
「地上ではない、異世界じゃ。私の村に行けばその理由はわかるであろう」
「その、村っていうのはどこにあるんだ?」
「ここから東に一日ほど歩いたところにあるぇ」
「それならとっとと行くか」
レモンはそっけなく答えた。
けれど、リーンの村と言うくらいだから魔物がいるに違いない。
私たちを襲ってくるということもある。十分警戒しないと。
私はひそかに自分に言い聞かせる。
「そんなに硬くならなくてもよいどすえ。皆気の良いものばかりどすえ」
心を読まれた? 妖狐が目を細める。
「そんなに警戒しなくてもよいどすえ。少なくとも今は敵対する気はないどすえ」
私の心を読んでいるんだ。妖狐はにっこりとほほ笑んだ。
「こ……ここは魔界なのかにゃ」
恐る恐る言葉を絞り出す。
「ははははは……」
「な、何がおかしいにゃ」
「すまんどすえ、まさか魔界と思っていたとは思わなんだどすえ」
「じゃ、ここはどこなのにゃ?」
魔界じゃなければどこなのよ。
「わからぬどすえ。妾たちが育った世界どすえ」
「わからない?」
どういう事? 魔界じゃないの?
「村に行けば長老がいるぇ。長老に聞けばよいぇ」
リーンが会話に割って入ってきた。
確かに魔界とは思えない。それならここはどこなんだろう?




