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いざ、異世界へ 1

 


☆☆☆

 私たちは坑道を抜けて、件の扉の前までやってきた。

 不思議なことに、コウモリどころか魔物に会うことさえなかった。

 悪魔が二体もいるからその妖力に恐れをなしているかのようだ。


「懐かしいどすえ」

 妖狐は細い目をさらに細めて、扉を見つめる。

「さて、扉を開けるかぇ」

 リーンはホイヤーさんにの首に回した手をどけて、扉の前に立つ。


 ついに扉が開かれる時が来てしまった。

 リーンはホイヤーさんから宝玉を受け取ると、扉のくぼみにそれをはめ込んでいく。

 リーンは完全に油断している。仕掛けるなら今しかない。

 そう想いレモンに目配せをする。

 レモンも私に気付いたらしいが、首を横に振った。


 何で? 今が格好のチャンスなのに。

 扉が開かれたら、魔界と繋がっちゃう。

 そうなったら悪魔が押し寄せてくるよ。


 私は、魔物たちが村を焼き払う光景を想像してしまう。

 今なら魔物は二体、何とかできるかもしれないのに。


 私は腰のポーチに手をやると、何者かに腕を掴まれた。

 

 だれ? 


 振り向くとそれはレモンだった。


「どうして? 今がチャンスにゃ」

「慌てるな、今はまだこらえるんだ。様子を見よう。えせ占い師がすんなり従っているところを見ると、何か策があるのかもしれない」

「ホイヤーさんは単に、女ったらしなだけじゃにゃいの」

「それにここで、戦うのは得策じゃない。あわてるな」

「でも……」

 レモンはホイヤーさんの行動を重視しているようだけど、どう見ても単にリーンに逆らえないだけな気がする。


「仕掛けたかければいつでも相手になるどすえ」

 き、聞かれた? 振り返ると妖狐がにっこりとほほ笑んでいる。

「まさか、無粋なことはしないよね。レモン君」

 ホイヤーさんはレモンの肩を掴んだ。

「ああ、そんなことするわけないだろ」

 レモンも答える。

「そうどすか。それは残念どすな。体がなまったいたさかい、少しくらい運動してもよかったどすえ」

 妖狐の細い目は私の顔を見ていた。

 やっぱりさっきの会話聞かれていたんだ。  

 

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