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「慌てるでない、まだ私の友人が到着しておらぬ」

 リーンはホイヤーさんの首に手を回して体を密着させる。


「ちょ、ちょっとリーン。ホイヤーさんから離れなさいにゃ。嫌がっているじゃにゃい」

 リーンの顔がホイヤーさんの唇に接近しているのを見て思わず声が出た。


「嫌がってはおらぬぞ、なぁホイヤー殿」

「うん、ミーちゃんも妬いてないでおいでよ」

「誰が妬いているにゃ。マイヤーとアイヤーもいるんだから少しは気を遣いにゃよ」

 ホイヤーさんったら、本当に女の人にだらしないんだから。

「マイヤーやアイヤーには、教育のために見せているんだよ。なんせたった二人のエルフの生き残りだからね」

 ホイヤーさんの言っている意味が分からない。

 エルフの生き残りと、イチャイチャを見せつけるのとどう関係するのよ。


 そんな問答をしているときだった。

 私でも感じる恐ろしい量の魔力。

 背筋に冷たいものが走っていった。


「到着したかぇ」

 リーンが目を細めて、ホイヤーさんの唇を奪う。

「と、到着したって……だれがにゃ」

 この魔力はリーンの魔力に匹敵する。

 つい忘れがちだけど、リーンはサキュバス。悪魔なんだ。


「さて、それでは扉にいくかぇ」

 リーンはクスリとほほ笑むと、体を起こした。



☆☆☆

 村長さん宅を出ると、そこにいたのは……東洋の民族衣装に身を包んだ狐顔の女性だった。

「き、キツネ?」

 思わず口から言葉がついて出る。

 ジャックさんの話に出てきた悪魔の最後の一人は狐の悪魔だったハズ。


「狐とは失礼な、東洋の妖怪、妖狐じゃ」

「ヨウコさんとおっしゃるのですね。ボクはホイヤー。どうですボクと暑い一夜を過ごしませんか?」

 ホイヤーさんは妖狐の腰に手を回す。

 ふぁさ。妖狐のお尻のあたりからふさふさとした尾が二本現れた。


「いきなり何どすぇ? 妾にそのような趣味はないどすえ」

 ペチンとホイヤーさんの手を払いのけた妖狐。

 いきなり見ず知らずの人に、触れられてあからさまに不機嫌になっている。


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