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マイヤーとアイヤーに別れを告げて鍾乳洞に向かう。
確か鍾乳洞には魔物がたくさん居るんだよね。
気を引き締めなきゃ。
私はベルトポーチの薬草を確認する。
大丈夫全部そろってる。
魔法使いにとって、薬草は騎士の剣といったところかな。
これがないと魔法が使えない。
私は鍾乳洞の入り口で松明に火をつけた。
レモンも松明を持って、剣を構える。
わ、かっこいい。
冒険小説の拍子みたい。
これがホイヤーさんなら……だめだ。格好良くない。
レモンだから似合うんだよね。
「ミカン、行くぞ」
レモンが緊張しているのがわかる。
私の胸もドキドキしてるもん。
こうして、鍾乳洞屁の第一歩を踏み出した。
ぽた……ぽた……
天井から水がしたたり落ちる。
「ひぃ」
ときどき首回りに落ちて驚きの声を上げる。
「大丈夫、落ち着いて。深呼吸、深呼吸」
レモンがそのたびになだめてくれる。
「あのえせ占い師によると、そろそろ第一関門、魔物のお出ましだな。
リザードマンとか言ってたか?」
「魔物の名前は言ってないよ。トカゲににた魔物の大群って言ってたよ」
「さあ、何が出てくるかな」
ペッタンペッタンペッタンペッタン
足音が聞こえ始めた。それも相当数の数だ。
レモンは松明を投げ捨て、戦闘態勢にはいる。
私は松明を音のする方に向ける。
ペッタンペッタンペッタンペッタン
明かりに気がついたのかこっちに足音が向いた。
む、向かってくる。
初めての実践がリザードマン。それもかなりの数。
ゴクリと喉を鳴らす。
だんだん足音が近くなる。
見えた、リザードマン?
いや、どう見てもただのトカゲなんですけど。
でも向かってきたのは事実。
レモンは剣で一凪する。
キャッキャキャッキャいいながら四散する、仮称リザードマン。
そのまま慌てて逃げていった。
「なんだよ今のは?」
レモンの怒りもよくわかる。
まさに拍子抜け。
リザードマンの正体はただのトカゲだった。
「やっぱり、あのえせ占い師は信用できないな」
「まあまあ、レモン。たまにはこういう間違いもあるかもよ」
投げ捨てたレモンの松明を拾ってレモンに差し出した。
松明にはまだ火がついていて、以外と乱暴に扱っても火は消えないんだね。と松明の便利さを一つ見つけた。