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「戦いになると自我がなくなるというか、戦いの最中の記憶がないんだ」

 くやしそうに語るジャックさん。

「つまり手心を加えることはできなかったんだな」

 手心……手加減をすることができない戦い。そんなのって酷い。


「同胞たちは私の豹変ぶりに驚いたと思う。しかしいつも気づいてみれば同胞たちの屍の山だ」

 こぶしを握り締め、くやしそうに語るジャックさん。

 そんなことをさせていたメデューサは許せない。


「本来私が生き延びていること自体、罪なんだ。最後にメリーヌに一目会いたい。そうすれば全てを清算できる」

「ちょっと待つにゃ、それってどういう意味にゃ」

「そうだぜ、今の話だと自決でもするつもりか?」

 私とレモンはジャックさんを問い詰めた。


「遅いくらいなのだ。いや本当はメリーヌにさえ合わす顔がないのかもしれない。しかし最後に一目……」

「待てよ、自分が死ねば同胞が生き返るのかよ。お前が殺した同胞が」

 レモンが怒鳴った。道の往来で立ち止まっていた私たちを遠巻きに見る人もいた。

 しかしレモンは気にせず続ける。


「もし本当に同胞のことを思うなら生きろ。生きて償うことをしろよ!」

 レモンはジャックさんに思いのたけをぶつける。

 私もレモンに賛成。せっかく助かった命をむざむざ消し去ることなんてできない。


「しかし、わたしはこの手で……」

「そうさ、同胞たちを葬ってきたんだろ。なら、彼らの気持ちはどうなるんだ?」

「彼らの気持ち?」

「そうだ、あんたを救いたいと願って返り討ちにあった者たちの気持ちだ」

 ジャックさんはレモンの言葉に、黙ってしまった。


「あんたを助けたい、メリーヌさんを助けたい。そのために危険を冒してまで城に乗り込んでいった者たちの念願が今叶ったんじゃないのか」

「それは……」

「レモンの言う通りにゃ。これでジャックさんが命を落としたところで、みんなは浮かばれないにゃ」

 私もレモンの気持ちと同じ。ジャックさんに死んでほしくなんかない。



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