4
なんだか不思議な風景を見ている気がする。
敵であるリーンがいるのに、ホイヤーさん、マイヤー・アイヤーは警戒心というものがない。
村長さんもそうだ。
いったい私の知らない間に、何があったのかな?
☆☆☆
ジャックさんは村長さんに報告を済ませると、メリーヌさんのところに行くと言い出した。
もちろん反対することはない。
恋人だったメリーヌさんとの時間を取り戻したいんだろうな。
でも、今のメリーヌさんは……。
私とレモンは、ジャックさんを骨董品屋へと連れて行った。
メリーヌさんに合わせるためだ。
「大丈夫かにゃ?」
「何がだ?」
レモンが不思議そうな顔をする。
「今のメリーヌさんは、昔とはずいぶん違うみたいだにゃ。それにあの性格……」
すっかりひねくれちゃったとしか言いようがない。
「大丈夫だろ、もともと呪いのせいだったんだから」
「そうだけどにゃ」
私は一抹の不安をぬぐいきれなかった。
「どうかしたのか? 顔色が優れぬようだが」
「いえいえ、なんでもないにゃ」
ジャックさんの言葉に、思わず背筋が伸びた。
「ジャックさん、操られていた間の記憶ってあるのかにゃ?」
そういえば、ジャックさんについて何も聞いてないことに気が付いた。
「ああ、断片的にではあるが記憶はある」
「どんな記憶にゃ?」
「ミカン、失礼だろ」
「でも……」
聞かずにはいられない。どんなことをされていたのか、あのメデューサに……。
「かまわないよレモン君。いずれわかることだしな」
少し悲しそうな表情を見せたジャックさん。聞かない方がよかった?
「あ、無理に聞くつもりはないにゃ。いったいどんな待遇だったのかと思っただけにゃ」
あわてて繕ってはみたものの、遅かった。
「主に城の警護をしていたと思う。侵入者が来るたびに戦いに駆り出されていた。中には私を助けに来た者もいたが……」
ここまで一気に話すと、押し黙ってしまった。
「返り討ちにしたのか?」
「レモン」
ジャックさんの言葉の続きをレモンが代弁したんだと思う。けど、それって……。
「レモン君の言う通りだ。私はこの手で同胞たちを葬ってきた。許されることではない」
足を止め、自分の両手を見つめるジャックさん。
その表情は悲痛なモノだった。




