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着衣を直して、マイヤーに聞いた。
「みんな来てるのかにゃ?」
「ああ、全員来てるぜ。詳しい話は後だ。ホイヤー兄のところに行くぞ」
こうしてみるとマイヤーは男の子だな。責任感が強い。
ちょっとほほえましく思うが、その手はスカートの中にあった。
ちょっとでも感心した私がバカだった。
マイヤーの手をつねって、スカートから追い出すと、戦っているであろうレモンの方に視線を移す。
慣れない戦い方をしているレモンとフーリクスさん。
時々ホイヤーさんの精霊魔法が飛ぶ。
そして何よりここに似つかわしくない、黒衣の戦士がレモンと一緒に戦っているのだ。
「マイヤー、あの人は誰?」
「ああ、あいつか。確かジャックとか言ってたな。洗脳されていたのを解いたんだよ」
ジャック? メリーヌさんの彼。勇者の名前だ。
確かに戦い方を見ていると隙がない。大振り気味なレモンやフーリクスさんとはレベルが違うのがわかる。
「おのれジャック、我に逆らうのか?」
「ここで死んでもらう。メリーヌのためにもな」
ローザの髪が蛇に変わる。そのヘビが執拗にジャックに襲い掛かるがジャックはこれを一閃、数匹のヘビの首を飛ばす。
「ぐうぅぅ」
ローザの右腕が膨張変形をする。そしてごつごつした腕に鋭い爪が現れた。
ジャックさんは盾を使いうまくローザの懐に潜り込む。
ローザは距離を詰められて、後ずさるしか方法はなかった。
そこにジャックさんは剣を振り下ろす。
ローザの肩口に剣が突き刺さった。
ローザはその剣を左手でつかむ。そして髪の毛のヘビでジャックに襲い掛かる。
ジャックさんは剣を放し後ずさった。
これで武器はなくなったジャックさん。
「ジャックこれを!」
レモンが銀の剣をジャックさんに渡す。
「ありがとうレモン君。一気に行くぞ。恐れることはない。君たちなら大丈夫だ」
ジャックさんはそういうと自らが駆け出した。
レモンとフーリクスさんもそれに続く。
ローザは右腕の爪で一気に薙ぎ払おうとするが、レモンが詰めを受け止める。
その間に間合いを詰めたジャックさんとフーリクスさん。
ローザは頭のヘビで攻撃をしてくるも、フーリクスさんがヤリでヘビをけん制する。
その隙をついて無防備になったローザの心臓を、ジャックさんの剣が突き刺した。
「ぐおぉぉぉぉ」
断末魔の叫びをあげて、ローザはその場に倒れたのだった。




