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火が消えて、周りが再び闇に包まれる。
しかしコッケラーは自分の巣穴の位置を把握しているのか巣穴に首を突っ込んだ。
「ドリアンさん!」
まだドリアンさんは巣穴にいるはず。
コッケラーは何かに追い払われるように、いったん首をひっこめた。
ドリアンさんの姿が見える。そのシャツは赤く染まっている。
このままじゃドリアンさんが危ない。
コッケラーの足元でレモンとフーリクスさんが必死に戦っているけど、まったく相手にしていない。
さらにまずいことに、ホイヤーさんたち脱出組も充分な距離を取れていないのだ。
こうなると手すきの人間は私だけ。
かといって私の魔法で何とかできるわけもなく……。
考えろ、考えろ……今は明かりがない。立場的には有利な状況。
コッケラーを巣穴から離れさすことができれば、その隙に無事に脱出できるはず。
もう一度、魔物図鑑に目を通す。
何か弱点はないか? いい方法はないか?
「ぐぁぁぁ」
「レモン!」
レモンが詰めの攻撃を受けて、宙を舞う。
駆け寄ろうと思ったけど、足が震えて近づくことさえできない。
二個あったランタンも今は二つとも破壊されている。
明かりらしい明かりはないのだ。
レモンの容体も気になる。フーリクスさんがレモンをかばうように前に出る。
このままじゃらちが明かない。
そんな時魔物図鑑のある言葉が、脳裏に浮かんだ。
--光物に目が無い--
光物、金銀財宝のこと? いや、待って。それだけじゃないはず。
「もうこれしかない!」
私は、手ごろな石を掴みとると光の魔法をかけた。
月のように明るく光るその石に、コッケラーは反応してくれたのだ。
コッケラーは私めがけて……いや、その石めがけて走ってくる。
私は、コッケラーを引き連れて、石をもって駆け出した。
「今のうちに逃げてみんな!」
そう叫ぶと、再び走りにくい森の中へと駆け込んだ。
怪鳥コッケラー、間近で見れば見るほど凶悪な顔つき。
つるつるの羽毛で覆われた、コッケラーに刃物は滑る。
レモンたちが決定打を与えられないのはそのためだ。
そんなことを考えながら、コッケラーとの距離を見ながら森の奥深くへと駆けていった。




