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「マイヤー、アイヤー。明かりを消すにゃ!」
私は声の限り叫んだ。
「それじゃ何にも見えないぜ」
マイヤーの声が聞こえる。
あ~ん、どうすればいいのよ!
このままじゃ、宝玉見つける前にコッケラーが巣に戻るよ。
そんなことを考えていると、回復を終えたドリアンさんが再び戦線に復帰した。
しかも今度は素手で、コッケラーを抑え込む無謀な作戦に出たのだ。
「ちょ、ちょっと、ドリアンさん無理だにゃ」
コッケラーの鋭いくちばしが、胸元を掴むドリアンさんに向かって振り下ろされた。
「ドリアンさん!」
「させるか!」
レモンが盾でそれを受け流す。
しかし、コッケラーもドリアンさんもひるむことなく掴み合いが続く。
何とかしなきゃ。私は、ランタンのシャッターを開けた。
狙い通り、コッケラーは私の存在に気付く。
「マイヤー、しばらく明かりを消すにゃ」
「何するつもりだ、ミカン」
「こうするつもりにゃ」
私は、コッケラーに背を向けて駆け出した。
マイヤーたちが明かりを消せば、明かりがあるのは私だけ。
光物に目が無いコッケラーなら、このランタンの明かりに誘われるハズ。
幼稚な考えかもしれないけど今はそれにかけるしかない。
ドスドスドス……。
案の定、コッケラーは私を追いかけてきた。
森の中は思ったより走りにくい。
草木でかすり傷を作りながらとにかく少しでも遠くに行かなくちゃ。
ドスドスドス……。
コッケラーの足音が間近に聞こえる。
そろそろ潮時ね。
私は、薬草を取り出すと幻覚魔法を唱えた。
そう、金銀財宝の幻影を作り出したのだ。
「くぇ~」
歓喜の声を上げるコッケラー。
私はランタンを置いて、その場から逃げだした。
「今のうちに宝玉を!」
走りながら、声を張り上げる。
いかに怪鳥とはいえ、幻影魔法に気付くのも時間の問題。
それまでに何とか宝玉を見つけないと。
ホイヤーさん、ドリアンさんも宝玉捜索に加わったのが見えた。
私は、レモンたちと合流するとコッケラーの方に振り返った。
「無茶しすぎだミカン!」
「これしか思い浮かばなかったにゃ」
「とにかくあとはオレたちに任せるんだ」
「あ、レモン。今のうちに回復をするにゃ」
私は薬草を取り出すと、回復魔法を唱える。
レモンとフーリクスさんの傷がふさがっていった。




