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「ドリアンさん!」
しかしドリアンさんは、下がりはするもののこちらに来る様子はない。
どうして?
「ドリアン君は自分にコッケラーの目が向いていることに、気づいているんだ」
「どういうこと? ホイヤーさん」
ドリアンさんの服がだんだん血に染まっていく。
「つまり、ボクたちのところに来ればコッケラーも後をついてくるということだよ」
「私たちの身の安全のために、こっちに来ないってこと?」
「そういうことになるな。ドリアン君は目立つからね。うまくレモン君とフーリクス君が足止めできればいいのだけど」
ちらりと戦況を見れば確かにコッケラーは、ドリアンさんを襲っているように見える。
レモンはその攻撃を盾で受け流そうと必死になっている。
「でもこのままじゃ」
ドリアンさんが危ない。
「コッケラーが巣から充分離れるまで我慢するしかないな」
「ホイヤーさん!」
そんなの待ってられないよ。
コッケラーは巣穴から半身ほどしか体を出していない。
「私行ってくるにゃ」
私は薬草を握り、駆けだした。
魔法が届くぎりぎりの位置まで足を運ぶと、回復魔法を唱える。
薬草が緑色の炎に変わり、さらに緑の煙に変わる。
その煙が傷だらけのドリアンさんを包み込む。
「これで大丈夫だと思うけどにゃ」
「ミカン! 危ない」
私が気を緩めた時に、コッケラーが蹴り上げた石が私めがけて飛んできていた。
「きゃぁぁぁ」
当たる……私にはそれを避けるすべはないのだ。
グイっと引っ張られる感じで体が宙を舞う。
「お姉ちゃんゲット」
恐る恐る目を開けると、アイヤーの姿があった。
「アイヤー……?」
アイヤーの手には、魔法の杖が握られている。
そうか、アイヤーが杖を使って助けてくれたんだ。
「無茶をするなミーちゃん」
少し怒った様子のホイヤーさん。
「でもほっとけないよ。ドリアンさんだって危ないんだから」
「よく見てみなよ」
ホイヤーさんに促されて戦いに目を向けると、レモンが血を流していた。
え? 何で?
「さっきミーちゃんに気を取られて、クチバシの攻撃を避けそこなったんだよ」
「そんな……、レモン!」
「来るな、作戦を忘れるな!」
レモンの悲痛な叫び声が聞こえる。
幸い致命傷ではなさそうだけど……。




