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「あなた方は、こんなところで生活してるんですか?」
「こんなところとは失礼だろ」
マイヤーが叫ぶ。
「いかにも、我々エルフはエルフ狩りにあって、今はここで細々と暮らしている」
「エルフ狩り?」
確か一〇年前に大規模なエルフ狩りがあったと思ったけど、その被害者。
「でも、エルフって畑で増えるんでしょ?」
たしか栽培できるとか授業で習った気が……。
「そんな訳ないだろ」
「そうだよミーちゃん。それは間違った知識さ。エルフだって恋をする。ミーちゃんみたいな美人ならなおさら……」
ホイヤーさんの顔が近づいてくる。
パキッと音がしたかと思うとホイヤーさんが吹っ飛んだ。
「オレのミカンに何する気だ」
【オレのミカン】って言った?
言ったよね。
「フニャン」
レモンに見とれてしまった。
「なんだよ。ミーちゃんはボクと結ばれる運命なんだよ。じゃましないでくれないか?」
「そんなえせ占い、信用できるか」
「そうよそうよ、レモンと一緒になるんだから」
あ、言っちゃった。レモンの反応は……顔真っ赤にして、可愛い。
「ミーちゃん、ボクの占いが当たると言うことを忘れないでね」
ホイヤーさんは格好いいとは思うけど、やっぱりレモンが一番よ。
「それはそうと鍾乳洞の場所は知らないか?」
「場所も知らずに来たのか?」
少しあきれ顔のホイヤーさん。
「うるさい。人のかってだろ」
素直に成りきれないレモン。
このあたりが大人と子供よね。
「何人の顔見てにやついてんだよ。ミカン」
「え? そう? そんなことないと思うけど」
「いいや、にやついていたね」
ぷいとむくれてしまった。
う~ん、むくれると口利いてくれないもんね。仕方ない。
「レモン」
レモンの首に腕を回して、体をぴったりくっつける。
「な、なんだよ?」
「私がレモンのこと笑ったりする訳ないじゃない、ね」
レモンの耳元でささやく。
ママがよくパパにおねだりしたりするときにする仕草だ。
いつもこれでパパはデロンデロンに鼻の下のばしてるもんね。
レモンだって機嫌くらいなおしてくれるよね。
「そうだな」
レモンも私の腰に腕を回して、オデコをコツリとあわせる。
「疑って悪かった」
そのままレモンの唇が私のそれに重なった。
わ、わ、私の方が顔から火が出そうに成っちゃった。
「ちゅっ」
名残惜しそうにもう一度キスをすると役目を果たしたとばかり離れていった。
あったかかったな。初めての味はレモンの味だね。
だって相手がレモンだもん。
胸の奥が熱く成ってく。
なんだか胸もお尻もむずむずしてきた。
そんなキスだけで……私そんなにエッチじゃないよ。
「いいケツの張りだ」
「もうちょっとボリュームほしいわね」
は、
「マイヤー、アイヤー何してるの!」
二人にさわられていたと気づくまでに時間がかかった。