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じろり。鍛冶屋のおじさんは私をにらんだ。
「あにょ~、これ」
私は話題を変えるべく、村長さんの親書をおじさんに手渡す。
「ふんっ」
不機嫌そうにその親書の封を外し、中を読みなじめる鍛冶屋さん。
読み終わると、私たちに視線を移した。
「要件はわかった、こっちに来るがいい」
私たちは店の奥に通される。
「ねぇ、姉ちゃん大丈夫なのか?」
おしりをナデナデしながら、問いかけてくるマイヤー。
「やめ、やめるにゃ。こんなところで」
マイヤーの手を掴む。
「でもさ、罠ってこともあるんじゃない?」
「アン、やめてってばアイヤー」
アイヤーは背中に飛びついて、服の中に手を入れてきた。
思わず声が出ると、加治屋さんが私の方を見る。
「あ~にゃんでもにゃいです。にゃんでも」
顎に手を当てて、腰をフリフリ。
ついでにアイヤーを振り落して、その場をごまかす私。
「それはそうと、オヤジは何て名前だい?」
レモンが話題をそらしてくれた。
「わしか? わしはリックじゃ。嬢ちゃんの言う通り、土の妖精じゃよ」
やっぱり土の妖精だったんだ。
「そこの小童ども、大人しくしておれ。工房が汚れるじゃろ」
相変わらず不機嫌そうに、言い放つリックさん。
そういえば土の妖精とエルフってあまり仲が良くないんだっけ。
店の奥には工房以外に、闘技場のような場所があった。
「にゃにするんにゃ?」
まさか戦えとかいうんじゃないでしょうね?
「レモンとフーリクスと言うのはだれじゃ?」
唐突に、リックさんは言った。
「レモンはオレだ。フーリクスは今いない」
「そうか、ならばお主のその剣であの丸太を切ってみよ」
「何? 何でそんなこと……」
「いやならこの話はなしじゃ。それとも自信がないか?」
リックさんレモンを挑発している。
「け、こんな丸太わけないぜ」
レモンは闘技場の中央に鎮座する、直径一メートルほどの丸太の前に歩み出る。
すらりと剣を抜くと、使い込まれた剣の鈍い光に私はぞっとした。




