3
森の中は暗くなるのが早くなる。
獣道に毛が生えた程度の道ではなおさらだ。
「今日はこの辺でキャンプをしようか?」
キター。いよいよね。
「う、うん。そうしましょ」
レモンは薪を拾いに、私は夕食の準備を始めた。
☆
『レモン、デザートあるんだけどた・べ・る?』
『ああ、もらおうかな』
『はい、お誕生日おめでとう。デザートは、わ・た・し』
『そうか、ミカンの味を隅々まで堪能しようかな』
『レモン』
『ミカン』
☆
「なんちゃって、なんちゃって、なんちゃって」
「痛い、痛い。どうしたんだよミカン」
レモンの顔見たら、ボッと顔から火が出そうになった。
「何でもないよ。何でも」
極力平静を装った。
「ごめんね。夕食焦がしちゃった」
「ミカンが焦がすなんて珍しいな。いいよ。気にするな」
「でもね、で、で、で……」
「で?」
不思議顔のレモン。
「デザ……」
「「あ~ああ~」」
「な、なんだ?」
ツタをロープ代わりに現れた二つの黒い影。
「俺様のケツゲット」
「私のおっぱいゲット」
その二つの物体は、私のお知りと胸にかじり付いた。
「きゃ~、レモン助けて」
何よこの子たち。
身長一二〇センチくらいの子供が二人まとわりついてきた。
ゴンゴン
「ミカンに何するんだ。剥がれろ」
レモンは子供たちの頭にこぶを作ると、私から引き剥がしてくれた。
あれ? この子たち……。
「エルフ?」
「そうだ、俺様たちはあの光輝なエルフだぞ」
「まいったか」
二人そろって胸を張っている。
確かに耳がとがっているし、強い魔力を感じる。
エルフに間違いない。
「それはともかく、何でこんなところにいるのよ」
しかも、子供二人きりで。
「俺様はそんなに口は軽くないぞ」
「軽くないぞ」
腕を組んで座り込んでしまった。
「う~ん、どうする? レモン」
「う~ん」
さすがのレモンも黙り込んでしまった。
「あなたたち名前は?」
「俺様は口が堅いんだ」
「名乗ったらご飯くれる?」
ぐ~とお腹の虫がなっていた。
「いいわよ。今よそってあげるね」
スープをよそって差し出した。
バクバクバクバクともの凄い勢いで食べ始めた。