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「な、何で今にゃ事に?」
ドリアンさんの坑道には、部屋がたくさんある。
私たちは、そこに泊めて貰うことになったのだけれど……。
「ミーちゃんと寝るのはボクだ。レモン君は一人でベットを使いたまえ」
「何言ってる、ミカンはオレと寝る。えせ占い師こそ一人で寝ろ」
こんなやりとりが、かれこれ一時間ほど続いてる。
ことの発端は、部屋が広すぎることにあった。
なぜだかわからないけど、私たち三人は同じ部屋に通された。
ベットは二つ、けど三人。
誰が誰と一緒に寝るかで、言い合いが勃発した。
「あにょ~私はレモンと……」
私が口を挟もうとすれば、ホイヤーさんが血走った目で睨む。
思わずひるんでしまう私。
「そろそろねにゃいと、明日に差し支えるにゃ」
私が言えたのはこの言葉だけ。
今にも殴り合いになりそうな雰囲気に、ハラハラドキドキする。
「そもそも、部屋を借りたのはボクなんだ。ボクが割り振るのが筋ってもんだろ」
「何言ってやがる。部屋はまだあるだろ。何でえせ占い師と相部屋なんだよ」
うん、私とレモンは相部屋でって頼んだけど、ホイヤーさんは何で相部屋?
「危険すぎるだろ。ミーちゃんに何かあったらいけないからだ」
ホイヤーさんは私の肩を抱いて、引き寄せる。
「ちょっと、にゃにするにゃ」
必死で抵抗する私。
「ミカン」
レモンがホイヤーさんの腕の中から私を抱き寄せる。
「おっと、そうはさせない」
ホイヤーさんも私の肩をしっかり掴む。
「「ぐぬぬぬぬ」」
にらみ合う二人。
二人に引っ張られた私は、綱引きの綱のように両腕を引っ張られていた。
痛い痛いってば。
「何してるだ?」
いつの間にか、ドリアンさんが部屋に入ってきていた。
「見ればわかるだろ? ミーちゃんはボクと一緒に寝るんだ」
「何勝手なこと言ってる。ミカンはオレと一緒に寝るんだ」
二人の腕にいっそう力がこもる。
「うう……たすけてにゃ、ドリアンさん」
このままだと腕が引きちぎれちゃう。
「わかっただ」
ドリアンさんはベットを移動し始めた。
何するんだろ?
二つのベットをくっつけると、言った。
「真ん中」
私はドリアンさんに担がれてベットの真ん中に寝かされた。
「両端にそれぞれ寝る」
つまり私は二人に挟まれて寝るってこと?
呆気にとられた私たちは、部屋を出ていくドリアンさんの背中をただ見つめるしかなかった。
☆☆☆
「あ~、ミーちゃんに近づくな」
「えせ占い師こそ、何手をつなごうとしてるんだ」
レモンとホイヤーさんが言い合いをしながら、夜を過ごしたのだった。




