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     2


 パッションの村を出て歩くこと三時間。


 私たちは第一の難関にさしかかっていた。


「カップンフラワーよ。気をつけて」


 そう、魔物と対峙してたのだ。


 カップンフラワーは結構メジャーな魔物で背丈は一メートルほどでチュウリップのよう頭がある。


 じっとしてるとチュウリップと見分けるのは……大きさでわかるか。


 肉食で根っこは埋まっておらず近くを通る小動物を襲って食べるのだ。


 こんな凶悪な魔物を相手に私たちは戦っている。


「ミカン、魔法で何とか成らないのか?」



「何とかって、私が使える魔法って、幻覚魔法、結界魔法、回復魔法の三つよ。どうしろと言うのよ」


 三年間で習ったのは初歩の初歩。派手な攻撃魔法は危ないから覚えてないわよ。


「く、いきなりピンチじゃないか」


 剣でツンツンしながら牽制してるレモン。


「隙を作るからそこをねらって」


  ああ、せっかくレモンのために作ったんだけど、背に腹は代えられない。


 泣く泣くお弁当のメインディッシュ、青蛇の香草焼きをカップンフラワーに投げつけた。


 すると、頭が四つに裂け鋭い刃で食らいついた。


「今よ、レモン」

「ああ」


 力一杯振り上げた鋼の剣が初めて獲物をとらえた瞬間だ。


 植物なら茎の部分を斜めに両断。


 見事に初勝利を得た。


「やったねレモン」「ああ、ミカンの機転のおかげさ」


 左腕で私の肩を抱いて引き寄せたと思ったら、オデコにキスを落とした。


 一瞬の出来事で頭の中が真っ白になった。 

「レ、レ、レモン。あのね今のお昼ご飯なの。ごめんね」


「え? い、いいさ。そのおかげで命拾いしたんだからな。しかし、そうすると狩りをしないといけないか?」


「ううん、干し肉ならあるから食料には困らないと思うよ」


 往復二日分と余分に一日分持ってきてるから。


「だったらさっき、干し肉使えばよかったな」


「あ……」


 本当だ。何で気づかないのよ。私のバカバカバカ。


「自分を責めるなよ。一生懸命だったんだから」


 再びレモンがオデコにキスを落とした。


 何だか神様にでも許されたみたいに、胸の仕えがとれた。


「よし、気を取り直して出発!」


 大きな声を張り上げて歩きだした。

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