第四話 モグランリターンズ1
モグランの強さを目の当たりにした私たち。このままでは依頼は果たせない。
「今から特訓なんてわけにもいかないしな」
レモンが苦虫をつぶしたような表情をする。
「これからどうするにゃ?」
「どうするって言ってもな?」
私の言葉に、言葉を詰まらせるレモン。
「まず、モグランを操っているやつを探したらどうだい?」
見かねたホイヤーさんが、言葉をはさんできた。
「え? でも、モグランを捕まえるか追っかけるかしないとわからないにゃ?」
モグランの穴に入るのは危険すぎるし……。
「待ち伏せだよ。モグランとそのクライアントは必ずどこかであっているはずだろう? それを抑えればクライアントを見つけ出すことができるんじゃないかい?」
「ホイヤーさん頭いい」
私は思わず声を上げた。
「当たり前だぜ、ホイヤー兄の頭は姉ちゃんたちとは出来が違うんだぜ」
マイヤーが自慢げに、胸を張る。
「そうそう、お姉ちゃんのおっぱいより頭が大きいんだから」
アイヤー、それは関係ないと思うよ。
「でも、張り込むとしてどこで張り込む?」
「そうだにゃ、相手の目的もまだわかってないにゃ。ひょっとしたら坑道の中に住んでいるのかもしれにゃいにゃ」
ドリアンさんみたいに。
「そうだな、その可能性もあるな。確か坑道に坑夫たちを坑道に近づけないようにしているみたいだということぐらいしかわからないしな」
「そう言えば、村長さんはにゃんでコボルトの仕業だと思ったんにゃろ?」
どう考えても、モグランとコボルトを見間違うはずないんだけどな?
「確かにそうだな、坑夫の言葉を信じたんじゃないか?」
「でも、見間違うような体形じゃにゃいよ?」
レモンも首をかしげる。
「確かに村長殿は坑夫から聞いて、コボルトの仕業だと勘違いしているね。それはボクも疑問に思ったよ」
ホイヤーさんがさりげなく私の肩を抱いてきた。
チクリ……敗れた服を縫い縫いしていた私は、その針でホイヤーさんの手を刺した。
「痛いよミーちゃん」
「え? どうかしたかにゃ?」
知らんフリして、針を持ちなおす。
「もう一度そのあたりを村長に聞いてみるか?」
「そうだにゃ」
レモンの意見に賛成だ。
こうして私たちは、もう一度村長さん宅に行くことにした。
☆☆☆
「……ということなんですにゃ。村長さん」
「……ということと言われても、どんなことじゃ?」
今は、村長さん宅の応接室にいる。
レモンとホイヤーさん、マイヤーにアイヤーと私の五人で来ているのだ。
しかし……なぜか知らないけれど、メイドさんの衣装が、私の着ている猫メイド服に似たデザインになっていた。
ほかにも、バニーガールメイドさんと羊メイドさんがいる。
なんだかくる度に、おかしな方向になってないかい?
「つまりだ、なぜコボルトが坑道を襲ったと思ったんだ?」
レモンがズバリと聞いた。
「うむ、坑道の近くの森にはコボルトの村があるからのぉ。それにコボルトくらいしか坑道を襲ったりせんじゃろ?」
「つまり憶測だったと?」
「まぁ、そうとも言うかの」
からからと笑う村長さんに悪びれた様子はない。
村長さんのおかげでこっちはケガ人が出るところだったんだから。
「で、倒せそうなのかの? そのモグランとかいう化け物は?」
「今のままでは無理にゃ。だから待ち伏せしてクライアントを探そうかと思うにゃ」
「待ち伏せしてじゃと? それではいつあらわれるかわからぬではないか?」
村長さんの表情が曇る。そうだよね、村の資金源だもんね。
「一週間じゃ、一週間以内に何とかせねば、薬草代金の片にミカン殿をワシ専属メイドとして働いてもらうじょ」
「ええ~。ちょっと、それは困ります~」
両の拳を顎に当てて、腰をフリフリ。いやん、ついついまたあの仕草が出てしまった。
「おお~、ええのうええのう。それじゃよ」
村長さんはその仕草を見て目じりを下げて喜んだ。
「ミカンを渡すわけにはいかないな」
「そうよ、あたいのおっぱい渡せない!」
おっぱいって……。
「ならば一週間以内に何とかするんじゃな」
村長の目が鋭くなった。……確かに何とかしないとね。
「わかったよ村長殿。その代りミーちゃんはボクの婚約者だからね。仲人は村長殿に……」
「「なに言っているんだ(にゃ)!」」
ホイヤーさん、どさくさまぎれに何言っているの!
「てことは、ホイヤー兄のものは、俺様のもの同然。俺様の生ケツが触りたい放題か」
「そうだよマイヤー、あたいの生おっぱいも好き放題」
「おいこら、何勝手なこと言っているんだ。ミカンはオレのだ」
そうよマイヤー、アイヤー。私はレモンと一緒になるんだから。
私はレモンの腕に絡まって 心の中で叫んだ。
「ならば一週間以内に、採掘を行えるようにするんじゃな」
念を押すように、村長さんが言った。
期限は一週間。
「レモン、待ち伏せじゃにゃくって罠を張ったらどうかにゃ?」
「罠? 坑道内に罠を張ればモグランを捕まえられるんじゃにゃいかにゃ?」
「なるほど、その手があったか。その方が手っ取り早いな」
「でしょでしょ。善はいそげにゃん。村長さんまた来るにゃん」
こうして罠を張ることになり、村長さん宅を離れたのだった。




