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即席のチームワークはうまく機能しない。
フーリクスさんの槍を左手で弾いたモグランは、そのまま体を回転させ右腕の爪で壁を掘って逃げていってしまった。
「ちぃ」
穴は人一人が寝そべって入れるくらい小さい。
レモンは穴に剣を突き刺すが、手応えはなかったようだ。
「今回は、何とか助かったね」
ホイヤーさんの口調は厳しいモノだった。
恐らくレモンに向けられたものだろう。
「ああ、手助けサンキューな。ミカン、無茶するなよ」
レモンはそう言って私を抱きしめた。
「あ~、ズルい。お姉ちゃんを助けたのはあたいたちなのに」
バイザードが分離(?)して、アイヤーが飛びついてきた。
私はそれを受け止める。
あの時、杖で助けてくれたのは紛れもなくバイザード……つまり、マイヤーとアイヤーだった。
「お姉ちゃんの生おっぱい」
え?
ちゅぱちゅぱ音を立てて私の胸に吸い付いたアイヤー。
「アン、ちょっと……」
もぞもぞとお尻の方にも小さな手がスカート……いや、さらにその中にまで入ってきた。
「アン、ちょっと待って……」
足ががくがくして力が入らない。
私は腰を振って、振り払おうとしたけど、かえって逆効果。
「姉ちゃんの生ケツ」
今度はお尻に顔を埋めてきた。
「止め、アン……」
もう立っていられない。
「そのくらいにしておいてくれ」
レモンが二人を引き離してくれた。
「ありがとうにゃ」
「おっと」
足に力が入らない私は、膝から崩れ落ちた。
それをレモンが支えてくれたのだ。
私はレモンに抱きついた。
「コレを着ろ。目のやり場に困る」
「え?」
レモンの言葉に自分を見てみると、服が破れて胸が露わになっていた。
「きゃ」
私はレモンが差し出してくれたマントを着込んだ。
☆☆☆
「さて、これでモグランが居たのは確認できたね」
今私たちは少し開けた場所で、円陣を組んで座っている。
「だが、このままでは危ない」
ドリアンさんの言うとおりだけど……モグランに歯が立たなかったわけだし。
みんなが唸っているときだった。
ズガガガガ……と、地面から低い音が聞こえる。
「モグランか」
レモンとフーリクスさんが身構える。
「ダメだ。いったん後退だ」
ホイヤーさんに腕を引っ張られた。
私たちは走ってその場から逃げ出した。
あの音がモグランかどうかわからないけど、とにかく私たちは一旦ドリアンさんの坑道に戻った。
☆☆☆
「しかしモグランがあんなに硬いとは思わなかったぜ」
ギャリさんの料理を口に運びながら、レモンが言った。
「硬いのかにゃ?」
私はもちろん着替えている。
「ああ、とにかく硬い」
「それは言い訳かい?」
「なんだと?」
ホイヤーさんの言い訳発言にレモンが立ち上がる。
「レモン、座るにゃ」
レモンの服を引っ張った。
「前衛は、敵をくい止めるんだろ?」
ホイヤーさんの視線は鋭くレモンに突き刺さる。
「くっ」
レモン悔しそうだ。
「それが、ミーちゃんを犠牲にするところだったんだぞ」
ホイヤーさんが言い放つ。




