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「大丈夫? レモン」
レモンに怪我はなさそうだ。しかし、爪をはじくことが出来ない。
よほどの力なのだろう。
「コボコボ」
フーリクスさんが煙の中に、槍を突き刺した。
「ぎゅ~」
何ともいえない悲鳴が聞こえ、レモンを襲っていた爪が後退した。
「やったのかにゃ?」
「これくらいで、倒せる相手じゃないよ。シェルファ風を。土煙を払ってくれ」
シェルファ?
誰それ?
ホイヤーさんが、叫ぶと、なんと坑道内に風が吹いた。
土煙が吹き飛ばされる。
そこには、右腕だけが鋭く長いモグラのようなものが、二本足で立っていた。
身長はレモンと同じくらいだ。
初めて見たけど、恐らくこれがモグラン。
モグランは左手でフーリクスさんの槍を受け止めていた。
「安心して戦えレモン君。ミーちゃんはボクが幸せにしてあげるよ」
「何言ってるにゃ。ホイヤーさんも戦うにゃ」
さっきのが精霊魔法……ホイヤーさん本当に精霊使いだったんだ。
モグランは単体だ。レモンは剣を縦に打ち下ろした。
ギンっと、鈍い音がしたと思ったら、右の爪でそれを受け止めるモグラン。
「レモン、がんばるにゃ」
その隙にフーリクスさんは再びモグランに槍を突きつける。
モグランは怪力を発揮し右腕で受け止めていたレモンごと、爪を横に凪いだ。
レモンは吹き飛ばされて、フーリクスさんにぶつかった。
二人はそのまま、壁にぶつかる。
「レモン、フーリクスさん!」
モグランは右腕の爪で二人を串刺しにするべく、突進していく。
「ダメ~」
とっさに私の体が動いた。
モグランの前に両手を広げて立ちふさがった。
しかし、モグランの勢いは止まらない。
現実がコマ送りのようにゆっくりと感じられた。
モグランの爪が私の胸に突き刺さる。
痛みなんか感じない。
その時モグランは弾かれたように、宙を舞った。
モグランの爪は、私の胸を貫いてはいなかった。
服を破くにとどまり、何者かに弾かれたのだ。
「ホイヤーさん?」
振り返ると、バイザードが杖をかざしていた。
魔法力の収束が感じられるから、あの杖を使ったんだ。
「サンキュー、助かったぜ」
気がつけば私の前にレモンとフーリクスさんが立っていた。
「行くぜ!」
レモンはモグランに向かって駆けだした。
おなかをみせて、起きあがろうとしているモグランめがけて、剣を打ち込む。
「ギュエ~」
モグランのお腹に剣が刺さる。
しかし、切り抜けることは出来なかった。
致命傷にはなっていない。
「フーリクス!」
レモンは剣を引き抜き身を避けた。
フーリクスさんはレモンの剣で出来た傷に向かって、槍を突き出す。




