初めての冒険 1
冒険の準備と親の説得で一週間なんてあっという間にすぎちゃう。
明日はいよいよ出発の日。
腕によりをかけたお弁当を作るんだ。
「いつまで起きてるのミカン。明日早いんでしょ。早く寝なさい」
「は~い、ママ」
最終チェックしていたら、怒られちゃった。
でもこれだけはやっておかないとね。
重い荷物はレモンに持たせないとね。
「鍛錬、鍛錬」
「ミカン! まだやってるの?」
「は~い、もう終わります」
なんだか遠足前みたいな高揚感があるな。
必ず攻略するんだから。
☆
結局一睡もできなかった。
「お弁当作らなきゃ」
絶対おいしいって言わせてやるんだから。「う~ん今日は快晴だな。まるでオレたちの出発を祝福してるようだな、みかん」
「そうだね。ほぁ~あ」
「なんだ寝不足か?」
「ちょっとね。でも大丈夫」
レモンの腕に絡まった。
「行こ」
上目遣いでレモンを誘う。
「お、おう」
レモンは私から視線を外した。
ふふ、可愛い。
大口鍾乳洞は村から歩いて一日のところにある。
村の西に位置している洞窟だ。
魔物もいるから近寄る人はほとんどいない。
奥に社があるのかさえ怪しい噂話だ。
でも最初の冒険にはもってこいだと思う。
こうしてレモンと二人きりになれたしね。
「何、にやついてるんだ?」
「な・い・しょ」
レモンへの誕生日プレゼントは定番中の定番。
私をあげちゃうんだから。
「さっきから何百面相やっているんだよ」
「百面相って失礼ね」
頬を膨らましてプイッとそっぽを向いた。