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「しょうがないな、じゃ八万枚でどうだい?」
レモンの顔を見る。レモンは諦めたように首を横に振る。
「も、もっと……」
上目遣いも追加で甘えた声を出す。
「も~これ以上は無理だ。七万枚!」
どんとカウンターを叩く。
そっとレモンの顔を見るけど、首を横に振るだけだ。
「あ、あの……」
「もう勘弁してくれ。これ以上は無理。お金をそろえてから出直してきな」
薬草を取り上げられてしまった。
そうだよね。私は肩をがっくり落として、店を出た。
「おい待てよ。薬草その辺に生えてないか?」
「レモン、残念だけどこういう処に生える薬草じゃないんだ……」
どうしよう? 薬草がなかったら魔法が使えない。
「お金、稼がなきゃね」
ぽつりと呟いた。
でも、どうやって?
「村長にでも相談してみるか?」
レモンが言った。
何か仕事でもあればいいんだけど……。
「そんなに、都合よくあるわけないか……」
ため息が漏れる。
意気消沈のまま、村長宅に戻った私たち。
「おお、ぴったりじゃな」
「あ、あの……」
どなた? 小声でレモンに問う。
「村長だ」
短く答えが返ってきた。
「お初にお目にかかります。ミカン・オ・レンジです。このたびはお世話になりました」
ペコリとお辞儀をする。
「な~にかまわんよ。ほれ、もっと近こう、近こう」
ひょろっとした体型にクリクリの瞳。頭は薄いけど、人の良い初老の男性。
ちょっと目尻が下がってるけど、悪い人じゃなさそうだ。
言われたとおりに、村長さんに近づいた。
村長さんはクルリと私の周りを一回りするように、見てうなる。
「やっぱり華があるのはよいの~。流石ホイヤー殿じゃ」
「え? ホイヤーさん?」
思っても見なかった人物の名前が出たのに驚いてると、
「「おかえりー、お姉ちゃん」」
いつになくうれしそうな、マイヤーとアイヤーが部屋に入ってきた。
「おお、似合ってる俺様のケツ」
「わ~可愛い、あたいのおっぱい」
二人ともが飛びついてきた。
「アン、ダメ。こんなところで……」
村長さんも見てるのに。
しかし、二人の手は服の中をまさぐって放れない。
ゴンゴン
「止めろ。オレのミカンに触るな」
ドスの利いた低い声と、マイヤー、アイヤーの頭にコブが出来た。




