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確か私たちが村を離れたのは一週間ほど。
その間に子供を作ったの?
いやいや、コボルトって一週間で生まれるものなの?
そんなハイペースで子供ができるなら村も驚異よね。
「コボルトの子供拾ってきた。フーリクスが」
「え?」
久しぶりにドリアンさんの渋い声聞いたよ。
「拾ってきたって?」
「コボコボボ」
「親たちが殺された。奇跡的に生き残った二人だ」
殺されたって……。
「誰に?」
「おそらく冒険者」
そう……そうだよね。コボルトは妖魔だもんね。冒険者が討ち取るのも当然か……。
「「わ~」」
こんなに可愛いのに……。
そっと私の肩に手が置かれた。
振り向くとレモンだった。
レモンはなにも言わずそっと抱きしめてくれた。
なんだろう?
私ケルト村いってからおかしいね。
レモンの服をつかんでぎゅっと握りしめた。
狩る側と狩られる側……。
フーリクスさんだって人間から見れば狩りの対象なんだよね。
そんなことを考えていたときだった。
微かに剣撃の音が聞こえたのは。
「「近い」」
イヤな予感が脳裏をよぎる。
「レモン」
すでにレモンは走り出していた。
私もその後に続く。
お願いフーリクスさんじゃありませんように。
心の中で祈っていた。
「見えた!」
戦いはすでに終わっているみたいだった。
三人の戦死風の男が倒れてる人影を囲んでいる。
「てめぇら、なんてことしやがる!」
先行したレモンが和の中に飛び込んだ。
「なんだこいつ?」
リーダーらしき男が口を開いた。
そう、血だらけで横たわっていたのは紛れもなくフーリクスさんだ。
遅れて到着するとすぐにフーリクスさんのもとに走り寄った。
お願い間に合って!
回復呪文を唱える。
「なんだ、コボルトの仲間だと?」
リーダーらしき男の声が聞こえるけどそんなの無視。
今はフーリクスさんの回復が先だもん。
お願い間に合って!
回復呪文を唱えて回復させる。
傷はかなり深い。
フーリクスさんお願い戻ってきて。
せっかく家族が増えたんでしょ。
一緒に帰ろうよ。
一生懸命祈りながら呪文を唱える。
ピクン
反応があった。
「頑張って、フーリクスさん!」
一生懸命はげます。
うん回復呪文効いてる。
もう少し、頑張ってフーリクスさん!
「てめえら、俺たちの獲物を横取りする気か!」
外野がなんかいっているけどそれどころじゃない。
やっと傷が回復し始めた。
よかった間に合った。
呪文を唱えつつレモンを探す。
すると三人組と切り結んでいる。
え?
なんで?
この事態にハテナマークが頭に浮かぶ。
「レモン!」
「こっちは大丈夫だ。それより回復を!」
三人組を一人で相手してるレモン。
明らかに圧されている。
なんでよ。どうしてこうなったのよ。
回復呪文を唱えながら頭をフル回転させる。
「誰か、助けて!」
私は知らず知らず叫んでいた。
「レモン!」
三人組の一人の剣がレモンの左肩に突き刺さる。
「ぐあ」
しかしレモンは怯まない。
今フーリクスさんの治療を止めるわけにはいかない。
「ドリアンさん、みんな!」
早く助けに来てよ。
「ぐは」
いたぶられるようにレモンは血に染まっていく。
誰か助けに来て!
心の底から祈った。
ブオっと風を切る音とともに丸太が飛んできた。
「なんだ~」
リーダーらしき男が怯んだ。
こんな芸当ができるのは「ドリアンさん」振り返るとドリアンさんとホイヤーさんが立っていた。
「来てくれたんだ」
思わずホロリと涙がこぼれる。
「ち、仲間かよ」
リーダーらしき男は逃げ出した。
それに続くように残りの人も逃げ出していった。
「よかった」
思わず安堵の声が漏れる。
「レモン、大丈夫?」
「なんとかな」
座り込んだのが目に入る。
「待ってて、もう少しでそっち行くから」
大分傷が治ったフーリクスさん。もう一息だ。
フーリクスさんの回復を終えると今度はレモンの回復。
レモンは左肩がひどいだけで後はかすり傷だった。
二人の回復を終えると、ギャリさんたちの待つ坑道へと向かった。




