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「あ、こら、どさくさまぎれに何をするんだミカン」
あ、バレた?
「そ、そりより超命水ってなんにゃ?」
「本来この世にあってはならぬ神水じゃ」
砂かけ婆はズズズと音を立て碗を傾ける。
「どうしてあっちゃいけないものなんだ?」
そうよね。不老長寿とかの類でしょ?
「自然の理を崩すからじゃ」
いや、魔物さんも人のこと言えないんじゃ……。
「自然の理か」
考え込むように下を向くレモン。
「何処にあるの?」
素朴な疑問をぶつけてみた。
すると……。
「誰にもわからんのじゃ」
砂かけ婆はがっくりと肩を落とす。
「誰も知らないの?」
なんだか雲をつかむような話だね。
「この世界と外界が繋がっていられるのは七日間だよ。
その間に探せるかい?」
「七日間ってなんだよ?」
そうそこ、気になるよねレモン。
「なんだ、そんなことも知らなかったのかい?」
砂かけ婆が驚きの声を上げた。
「どういうことだ?」
レモンが砂かけ婆に視線を移す。
「砂かけ婆の言うとおり、あの扉は七日間で閉じるんだよ。一度閉じると宝玉はただの石に変わる。一〇年くらいはね」
砂かけ婆は当然のことのように言う。
「なんだって!」
レモンが叫ぶ。
一度開くと一〇年は開かない?
しかも七日間しか繋がっていない?
「そんなの聞いてない……」
愕然としてしまう。
「それだけじゃありません。あの扉は外界からしか開けられませんから、誰かが開けてくれるまで外界に戻れなくなります」
ユータが言った。
「そう言えば砂かけ婆が言ってたな。人間は七〇年ぶりだって」
そうだよレモン。昨日なんかそんな話してたみたいだったよね。
前回開けられたのは七〇年前ってこと?
おじいちゃんたちが訪れたってことだよね。
「それが本当なら私たち七日間しか滞在できないことになるよ」
その間に【龍の髭】を見つけろってこと?
そんなの無理。
「ヒントとかはないのかよ」
砂かけ婆にレモンが詰め寄る。
そう、ヒント。
何でもいいから……何かあるでしょ。




