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約一日の道程で、村についた。
山を下って川沿いに歩くこと半日、目的地に着いたのだ。
そこは村と言うより集落と言った方がいいくらいだった。
「こんなところがリーンや妖狐のむらにゃのか?」
思わず言葉が口をついて出る。
「失礼どすえ。こののどかさ、変わってないどすえ」
妖狐は目を細めて、懐かしんでいるようだ。
畑が広がり、ところどころに家らしきものがある。
時間は夕刻、早く宿を探さなくては。
キョロキョロと周りを見渡す私。
しかしその心配はなかったようだ。
「おうリーンでねぇか。ヨーコもおるでねぇか」
薄闇にまぎれて、そんな声が聞こえる。
「リーンの知り合いかにゃ?」
リーンはホイヤーさんにお姫様抱っこしてもらったまま声の主に視線を移す。
私も声の主に視線を移すと……。
そこに立っていたのは、一本足にボロボロの髪を巻きつけた一つ目のある傘……としか形容ができない。
「ひ、人じゃないにゃ」
レモンの背中に隠れる私。
レモンも身構える。
「お? 人間か? 人間がここに来るのは久しぶりだな。オラの名はゴンタ。そう警戒せんでもええ。何もせんと。そうだ、この村にも人間がおる。呼んでくるべ」
そういうと、ゴンタと名乗った一本足、一つ目の傘は闇に消えていった。
「あいつはいったいなんなんだ?」
レモンが口を開く。
「この村の住人どすえ」
「この村は人間の村じゃないのか?」
レモンの言う通り、てっきり人間の村だと思っていた私。
魔界ではないにしろ異世界で、リーンや妖狐の出身であればあの傘お化けも悪魔と言うことになる。
それをすっかり忘れていた。
「ここは悪魔の村だにゃ」
「ああ、そう考えて間違いはないだろう」
レモンも警戒を怠らない。
しかし……ホイヤーさんはリーンに抱き着かれて、鼻の下を伸ばしきっているしマイヤーやアイヤーはドリアンさんの肩ですっかりお眠モード。
フーリクスさんとレモンだけが警戒をしている状態では、万一の場合に対処できない。




