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☆☆☆

 約一日の道程で、村についた。

 山を下って川沿いに歩くこと半日、目的地に着いたのだ。

 そこは村と言うより集落と言った方がいいくらいだった。

 

「こんなところがリーンや妖狐のむらにゃのか?」

 思わず言葉が口をついて出る。

「失礼どすえ。こののどかさ、変わってないどすえ」

 妖狐は目を細めて、懐かしんでいるようだ。

 畑が広がり、ところどころに家らしきものがある。 


 時間は夕刻、早く宿を探さなくては。

 キョロキョロと周りを見渡す私。

 しかしその心配はなかったようだ。

「おうリーンでねぇか。ヨーコもおるでねぇか」

 薄闇にまぎれて、そんな声が聞こえる。

「リーンの知り合いかにゃ?」

 リーンはホイヤーさんにお姫様抱っこしてもらったまま声の主に視線を移す。

 私も声の主に視線を移すと……。

 そこに立っていたのは、一本足にボロボロの髪を巻きつけた一つ目のある傘……としか形容ができない。

「ひ、人じゃないにゃ」

 レモンの背中に隠れる私。

 レモンも身構える。


「お? 人間か? 人間がここに来るのは久しぶりだな。オラの名はゴンタ。そう警戒せんでもええ。何もせんと。そうだ、この村にも人間がおる。呼んでくるべ」

 そういうと、ゴンタと名乗った一本足、一つ目の傘は闇に消えていった。


「あいつはいったいなんなんだ?」

 レモンが口を開く。

「この村の住人どすえ」

「この村は人間の村じゃないのか?」

 レモンの言う通り、てっきり人間の村だと思っていた私。

 魔界ではないにしろ異世界で、リーンや妖狐の出身であればあの傘お化けも悪魔と言うことになる。

 それをすっかり忘れていた。


「ここは悪魔の村だにゃ」

「ああ、そう考えて間違いはないだろう」

 レモンも警戒を怠らない。

 しかし……ホイヤーさんはリーンに抱き着かれて、鼻の下を伸ばしきっているしマイヤーやアイヤーはドリアンさんの肩ですっかりお眠モード。

 フーリクスさんとレモンだけが警戒をしている状態では、万一の場合に対処できない。




 

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