表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TS転生して勇者の母親になるそうです☆  作者: uyr yama
TS転生して勇者の母親になるそうです☆
4/12

側妃フレア

聖母リィア




リフィルディードア・キアル・マディレード/側妃フレア/聖母リィア



概要


勇者にして大陸統一連邦首長キアル皇国の初代皇王アレイド一世の母。

聖母とは、勇者を産み、神の祝福を賜った女性に贈られる称号である。

聖母リィアが賜った祝福は不老。美しい姿のまま、この世を去ったといわれている。

死後はキアル皇国国母及び、自由都市国家の象徴として祀られた。

子を持つ母の鑑と詠われる他、勇者国マクガイアの最後の王アストランデイル2世との悲恋が有名である。

父は勇者国マクガイアの貴族、アルセイズ・テレル・マディレード子爵。

母は同じくマクガイアの貴族シルナレード男爵家から嫁いできたエルレード・レド・マディレード。

兄にジェイスティ・テレル・マディレード子爵。

姉にファルナンド男爵家に嫁いだエルルレーン・レイジ・ファルナンド。

息子の皇王アレイド一世は、勇者として魔王を討伐し、戦乱続く大陸を一つにまとめ上げた大英雄であり、今も続く大陸統一連邦の初代首長にしてキアル皇国の初代皇王である。




側妃フレア時代


14才の誕生日の日に、時の国王アストランデイル2世に見初められ後宮に入る。

以降、側妃フレアと呼ばれ、16才で出奔するまで王から寵愛された。

側妃フレアは常に王妃アンゼリスにおもんばかった行動をし、周囲からの反感を買うことなく、側室の鑑と謡われたといわれている。

彼女の転機は王妃アンゼリスの3度目の妊娠の時、時の巫女姫の勇者降臨の神託が降りたことが切欠であった。

腹に勇者を宿したと思われる王妃アンゼリスは、勇者を産むというプレッシャーと、夫である国王アストランデイル2世の愛情が遠ざかったことにより、度々体調を崩すようになる。

側妃フレアは、勇者にして未来の国王を腹に宿すアンゼリスを心から心配した。

アストランデイル2世に王妃の傍にいてあげて欲しいと伝えるも、彼が愛する女性はフレアのみであったため、自身の下へ通うのを止めることは出来なかったらしい。

勇者の父祖として、何よりマクガイアの王としての役目は終わり、これからは愛するフレアだけの男でありたかったからだろうといわれている。

側妃フレアにとって、王の愛情が遠ざかって体調を崩してしまったアンゼリスだけが王の誠の妻であり、自身は横から入って王の寵愛を奪った最低の女だという認識を持っており、心の底からこの状況を苦しんでいたようだ。

丁度この頃、自身の妊娠に気づいたフレアは、このことがアストランデイル2世に知られてしまえば、今以上にアンゼリスが蔑ろにされてしまうと思ったらしい。

結果、彼女は身を引くように勇者国マクガイアを出奔し、自由都市国家へと流れた。

自身の腹の子こそが勇者だと知らなかったが故の行為であったが、皮肉にもこのことが後にアンゼリスの子との確執に繋がり、偽勇者騒動へと発展した。





Wik☆pe☆i☆-聖母リィアの頁より





















生まれ変わってスグのころ。


男から女に変わり、世界まで変わり、なのに、やった!って思わなかったと言えば嘘になる。


だって、『俺』には希望も何もなかった。

29年も無駄に生き、当然のように付き合ってる女もいやしない。

結婚? そんなの25になる頃には諦めたよ。


ただ無駄に生き続けるだけの人生だった。

焦燥感が胸を焦がす毎日だった。


何をすれば俺は変われるのだろう?

どうすれば俺は……


答えの出ない思考の泥沼は、確かに俺を追い詰め、そして殺したのだ。

仕事疲れもありはしたけど、でも、生きるという気力が薄かった気がする。

生きている実感が薄かった証なんだと思う。

それは生きるという行為にとって、とても毒で。

だから、死んだ。

一人、孤独の中、風邪による熱に浮かされ、悪夢にうなされながら、俺は死んだのだ。



そして俺は『私』になりました。



リフィルディードア・キアル・マディレード



誰もが振り返る、愛らしい容姿をもった貴族のご令嬢。

白皙の肌。紺碧の瞳。銀糸の髪。

オタクが喜ぶロリ萌えフィギュアのような容姿は、こっそり自慢でした。


だからでしょう。

禿げたデブ親父に嫁ぐのは嫌でしたけど、それでも無駄に生きた前世に比べればずっとマシ。

そんな風にさえ思ってました。


そうして私は、11才の誕生日に、王さまに見初められたのだ。


急転直下の出来ごと。

父さまも、母さまも、兄さまも、喜び、喜び……

姉さまは羨み、私は光栄です、と王さまに頬笑み返す。



その日の内に城へと連れ帰られた私は、なんでだろう? 城の一室に閉じ込められて、そこから連日連夜、抱かれ続けることになる。

元男としてのプライドが時折顔を出しかけたりもしたけれど、初潮が始まった時に女として生きる覚悟をしていたこともあって、さほど辛いとは思わなかった。

……思わないようにしていた。

ただ……まあ……口でするのだけはどうにも気持ちが悪く、後ろでされた時は、まるでホモに犯された気持ちになって、わんわん大泣きしましたけれどね。

ギシギシアンアン自体も、立場が逆だったら良かったのに。

そう思って落ち込みもしましたっけ。


それでも、マシだと……俺だった時よりも、誰かに必要とされる分、ずっとずっとマシなんだって、思ってた。


そう、あの日までは……






定期的に行われる健康診断。

その日、私は医師から妊娠していると告げられた。


頭が真っ白になった。

でも連日連夜犯されれば当然妊娠もするでしょう。

避妊なんて言葉がないこの世界である。当然と言えば当然でした。


でも、前世が男だったせいでしょうか?


自分が妊娠するなんて思わなかった。


だから、私は茫然と、そう、茫然と……






部屋の中の金目の物をかき集めたのです!





なんでそうしたのか?


どうしてそんなことを始めたのか?


今では分かるけど、その時は、全て無意識で。


出来るだけ嵩張らない。それでいて換金性の高い物だと尚よし。

そういう作業をしながら、時折私はお腹をそっと撫でた。


この中に、子供がいるなんて信じられないと。

でも、確かにいるのだ。

ひとりじゃない。もう、私はひとりじゃないんだ……



お腹の子供がとても愛おしく思えた!


この子が産まれてきてくれるのが、楽しみで仕方なかった!



ああ、私もこうやって、望まれて産まれてきたのですね。



前世の両親の仲の良さから、今生の両親の仲の良さから、私はそう思い……

急に、強く、強く、ガツン! と頭を叩かれた気持ちになった。






『俺』は本当に一人だったか?

前世の父。俺を産んでくれた母。

友人もいた。仕事の同僚とも仲は悪くなかった。

上司に小言を言われはしてたけど、本当に困った時は手を差し伸べてもくれていた。


ああ、なんて、なんて『俺』は恵まれていたんだ……



目から涙があふれた。



「ごめんなさい、ごめんなさい……」



前世の、今思えば大切だった人達に、何故か謝罪の言葉が出て止まらない。

滂沱の如く流れ落ちる涙は、ポツポツとベッドのシーツを濡らしていき。


ふと気づけば、



「どうした、フレア。妃になにか意地悪でもされたか? あれは近頃、余を見る目が毛虫の如くでなぁ。お前もそんな風に見られてやしないか?」



ロリペド王に慰められていた。


……いつの間に?

ってか王妃さまに意地悪された覚えはありませんよ?

大体において一回しか会った事ないしね。

だって私ってば、あなたのお陰で部屋から碌に出られませんでしょ?

意地悪されるとか以前の問題だと私は思うのですよ?


だから私はかぶりを振って、



「いいえ、いいえ、陛下。そんなことはありません……」



そう言って否定する。

それに私、思うんです。


私も11才の子供の部屋に連日連夜性的な意味で通い続ける夫がいたならば、同じようにゴキブリでも見る様な視線で射竦めますよ、ってね。


そう内心で吐き捨てた瞬間、心が軽くなった。


ああ、なんだか調子が出てきた。

これが私だ。これこそが私なんだ。


そこまで思い、顔に出たらマズイと、顔をうつむかせて表情を隠した。


そんな私に、何を思ったのか、優しく私の髪をナデナデしつつ、



「そうか、ならば良いのだが。それよりも聞いたぞ、フレア。子が、出来たらしいな」



優しい声色で問いかけてきた。

私は神妙な声で、



「……はい」



と返事を返したけれど、



「一週間前には知っていたらしいな? 何故なにゆえすぐに言わなかったか」


「それは……」



言葉に詰まり、取り敢えず、さっき流した涙をぬぐって誤魔化した。

顔を俯かせていて正解だったよ。

なんて心中で胸を撫で下ろし。


にしても、お腹の中に子が出来たと知って以来、私の心は強くなったんだと思う。


……今、泣いちゃったけど。


まあ、それはともかく、だから、もしかしたら……て思ってしまう。

この城を出て、今度こそ、キチンと生きてみたい、と思ってしまう。


だから金目の物を集めてたんだなぁ、って今更ながら自身の不可解な行動に気づいた。


そう、上手くやって城から逃げ出したいから、その準備に追われてて、報告だとか考えてもみなかったんだ。


ばっかみたい。もっと上手にやろうよ!

ほんと、言い訳どうすんの?


一見、お腹の子を守るみたいに、まだ膨らまないお腹の上から腕を組んで、言い訳を考える私。



「余が妊婦姦をするような変態だと思ってか!」



……?


なに言ってるんだろう、この無駄イケメンのロリコンは?

言葉の意味さえ無視できたのなら、とっても威厳のある剣幕なのに、言ってる事は最低だ。

大体さぁ、11才の私に嬉々と合体(笑)するような人、妊婦姦しなくても十分変態だよ!?


ほんと、この人、残念イケメンだ。


さらさらふわふわな金髪に、すぅっと細く切れ長の眉。

目元は少しだけ垂れて、でも年のせいか、甘いというよりは温和な感じをさせる中年ダンディー。


それが勇者国マクガイアの王さま。


名前は……そいや知らん。

どちらにせよ、前世の俺に比べると……というか、比べようと思うこと自体が恥ずかしくなる位のすんごいイケメン中年である。

……なんだろう、この沸々と湧き上がる思いは?



 こんちくしょー☆



こんな変態が権力持って『私』みたいな女の子を好き勝手するから、前世の『俺』のようなのが彼女ナシであぶれるんだ!



 ほんと、とってもこんちくしょー☆



「……そこまで余が信用ならんか? まあ、フレアが妊娠したと聞いたら妃も怒るだろうしな」



いやいや、お妃さまは割と好い人っぽかったですから、権力争いとか後継者争いとかから身を引けば、きっと優しくしてくれるはず……だといいなぁ。

まあ、正室と側室ですから、そうそう仲良しって訳にはいかないんでしょうけど、部屋に閉じ込められてるっぽい私にわざわざ会いに来てくれましたよ!

父さまや母さまの手紙を、侍女の手を通してだけれど優先して届けるように指示してくれた人格者です! 

……だといいよね! っていうか、一回会ったぐらいじゃ分かんないけど、貴方よりはマシだと思うの。


ま、まあ、それはともかく、私に怒るよりも、アナタに怒ると思いますよ?

11才のまだ体が出来てない少女を孕ましたなんて、最悪でしょうし。



「仕方あるまい。妃の怒りを買う前に城から出るがよいぞ。余もヤバいしな。妊婦姦などという外道な行為には興味がない筈なのだが、フレアの腹ボテ想像したら、結構イケそうな気がしてなぁ……待てよ、安定期に入ったらOKなのではないか? 妃とは経験ないが、フレアとならばもしや……」



わっはっはーっ、とやたらと漢前に笑って「ヤバい、ヤバい。妃に半殺しにされてしまうな」と首を振る。



「ふむ、やはり妃が怖いから、さっさと城から出るがよい」



……ほんとこの人ダメだ。私はついててあげたくないです。

一秒でも速く離れたい。変態は嫌。絶対、いやっ。


とにもかくにも、この日、私はこうして城から追い出された。

連絡がどうこう言われたけれど、結構です、自分で何とかしますからと、騎士っぽいおっさんにそう言って。


金目の物を詰めた大きめの鞄を背負い、私は初めて、一人で、この世界を歩き始めた。



今度こそ、しっかりと生きよう。

父さまと母さまには悪い気もするけれど、それでもこの誘惑には勝てやしない。

私は、私が一人じゃないのだと教えてくれたこの子と一緒に、生きていたい。

もう、デブ親父に嫁いでも構わないなんて思わない。

城の一室に閉じ込められて、連日連夜犯されても構わないなんて思えない。

これでも、『立派』に29年生きた『俺』の記憶があるのだ。




そう、私は誰かに養われるだけの一生なんてゴメンです!




きっと、今生も、前世と同じ、ろくに恋愛もしないで終わるのだろう。

でも、今生があるなら来世もまた有るかもしれない。

今回と同じように、記憶はなくても、あるかもしれないのだ。

だったら、恋愛は来世の私か俺に任せて、今回は精一杯にこの子を愛したい。

前世での両親や友人達に返せなかった想い全てを、この子に注ぎ込むんだ。



えっ? 今生の父さまや母さま?


さっきも言ったけど、悪い気もする。でもやっぱ知らん。


よ~く考えてみたらさ、少しくらいは守ってくれてもよかったよね?


相手が王さまだとはいえ、11才だよ? 私っ!



だって痛かったよ! 

だって苦しかったよ! 

だって辛かったんだ……


……ほんとは、嫌だったんだ、王さまの側妃になんてなりたくなかったんだ。


せめて、もう少しだけ、ただの子供でいたかったんだ……





そこまで思って、私は気づいた。


……ああ、そっか。

恨んではいないけど、もう、親として信頼は出来なくなってるんだ……



相手がこの国一番の権力者です。

仕方ないとは思うけど、それでも、一言くらいは何かあってもよかった。


ただ、名誉です、なんて言うんじゃなく。

羨ましいなどというんじゃなく。


ごめんなさいって、家族の誰かに言って欲しかった……

そうしたら、私は王の側妃として幸せになろうと努力したかもしれなかった。



でも、もう無理。


私は側妃フレアじゃなく、私として、この子と生きるから。


だから、父さま、母さま、兄さま、姉さま……



   ばいばい、じゃね☆




私は頬笑みながら、ウンっと、両手を天に伸ばして背伸びする。

天はどこまでも高く、空は青く澄んでいる。

まるで私の旅立ちを祝福しているみたいだと、私は頬笑みを深くした。


























































足取りは軽く、それでも地に足はついている。

そんな不思議な感覚で、フレアはひとり、歩き出した。


前を、ただ、前を見て。

一人で……いいや、お腹の子供と一緒に。




「子供だと思って安く見積もって貰っては困ります。この品は子爵令嬢であるわたくしが身に着けていたドレス。こんなに安い筈がないでしょう? なに? 文句でもあるんですか? こちらは出るとこ出ても構わないのですよ?」



「さってと。お金は一ヶ所に固めず、お財布に4分の1、鞄の奥に4分の1、服の中に少し、靴下に少し、下着に少し……」



「これで財布落としても大丈夫。変なのに絡まれたりスラれても持ってかれるのは一部。後は……えっとぉ……」



歩き出した一歩は力強く。


彼女は、確かに────────惰性でなく、自分の意思で生きていた。















「……う~みゅ……みじゅとほぞんしょくがひつよう……でしゅ……」



内容はともかくとして、呂律が回っていない可愛らしい寝言に、この家に住む老婆が皺の入った顔を緩めた。



「大丈夫みたいか?」



背中から、そう訪ねてくる夫に、老婆は、



「ええ、よ~く眠ってるさね」



と小声で返しながら、音を立てないように静かに部屋の戸を閉める。

悪阻が酷いようだったから心配したけど、これなら大丈夫みたいね。


老婆は、



「さあ、私達もさっさと寝ましょうか? 明日はリィアちゃんに美味しい物を食べさせてあげたいしねぇ」



そう言って、夫を寝室へと急かしながら、もう一度、リィアのいる部屋の戸に視線をやった。



「おやすみなさい、リィアちゃん」


────ふぁい、おやしゅみなしゃい



返ってこないはずの返事が聞こえた様な気がして、老婆はもう一度微笑んだ。




































 おまけ


 一目で分かるTS転生して勇者の母親やってます☆はこんな話だっ!


     リィアちゃん、自分の幼児体型にもの申すっ!



リィア(11)


「えっ?神様?そんなのいるわけないじゃん☆ 王家が勇者の末裔?現代日本人舐めんなwww」


リィア(20)


「息子と背が並びますた。このままいけば妹扱いもスグれすのwwww」


リィア(25)


「ですからこの子の母ですってば!えっ?お兄ちゃんをあんまり困らせるなって?ちょおまwww」


リィア(27)


「アレイドが勇者?永遠の幼女モードが神様の祝福?マジですか?なにそれワロタw

ワロ、タ……って今までの苦労って一体なんだったの?氏ね神様☆

やっぱ、ぜんぜん笑えません……orz」










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ