↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説 「 p 」 - 死刑囚、2080年から1582年へ  作者: /WoKoERu ( wokoeru )
PR
28/34

第33話 発砲

/WoKoERu From Japan


*リンク先一覧 / list of links

https://lit.link/wokoeru


───

https://note.com/wokoeru


https://kakuyomu.jp/users/wokoeru


X、Instagram、Tiktokなど


@wokoeru




*

© /WoKoERu All rights reserved.


第33話 発砲


地上に出てから、どれくらい時間が経ったのか、俺にはもうわからなかった。




灰色の空は変わらず重く垂れ込めていて、粒子と排気が混じり合った空気を吸うたびに、喉の奥がわずかに焼ける。



街路を歩く人々の多くは、視線を虚空に向けたまま動いていた。



目に埋め込まれた薄いインプラントが淡く光り、脳波で直接情報をやり取りしているらしい。

口を開く者は少なく、時折、誰かが小さく息を吐く程度だった。



彼らは常に繋がっている。



街のどこかで起きた出来事、遠く離れた地域の情報、過去の記録——すべてが思考のレイヤーに重なって流れている。

物理的な端末など、もうほとんど必要ない。


情報は視界の端に淡く投影され、必要なものは脳内チップが自動で拾い上げる。歩きながら無言で会話を交わし、表情を変えずにデータを共有している姿が、至る所で見られた。




TAOSUが、黒い甲冑を微かに軋ませながら周囲を見回していた。

兜の下から漏れる視線が、休みなく街を行き交う人々を追っている。


「……これはすべて人間か」


「人間と、ヒューマノイド型のAIだ。外見で区別がつかない者も多いが、胸部に埋め込まれたパネルが光るのが目印だ」


oneが淡々と答えた。




TAOSUの視線が、近くを歩くヒューマノイド型の存在に留まった。


精巧に作られた人型の機械は、表情をほとんど動かさず、効率的に歩いている。

時折、視界に何かを投影しているのか、わずかに首を傾ける仕草を見せた。



「化け物……か」


TAOSUが低く呟いた。




俺は答えず、ただ歩き続けた。

頭の疼きが、首輪の熱と呼応するように静かに続いている。


2080年の空気が、俺の体に少しずつ馴染もうとしている。

懐かしいのに、どこか遠い。虚無感が、胸の奥でゆっくりと広がっていく。


街路の向こうに、高層ビルの隙間から細い光の線が走っていた。

自動で運行する無人輸送ポッドが、低い音を立てながら空を横切る。

地上を走る車両はほとんどなく、代わりに磁気浮上式の小型ユニットが静かに行き交っていた。


気候変動の影響で、街のあちこちに簡易的なドーム状の遮蔽構造が設けられている。

酸性雨と強烈な紫外線を防ぐためのものだ。



oneが、視線を上げて空を見上げた。


「V-17が世界を襲った後、気候はさらに悪化した。人口は大幅に減り、残った者たちは地下と高層に分かれて暮らすようになった。AIが街の管理を担い、脳内チップが人々の思考を繋いでいる。……お前がいた頃より、ずっと静かだ」


俺は無言で頷いた。


確かに静かだった。


2080年の東京は、かつての喧噪を失っていた。人々は必要以上に声を上げず、感情を表に出すことも少ない。

脳内チップが互いの状態をある程度共有しているため、言葉によるコミュニケーションが最小限で済むようになったのかもしれない。


それでも、街は生きていた。


異星人の姿も、以前より増えているように見えた。

青みがかった皮膚を持つ者たちや、銀色の肌をした月からの移住者たちが、普通に街路を歩いている。地底から上がってきたらしい、肌の青白い者たちもちらほらと見えた。


彼らは互いに干渉することなく、ただ同じ空間を共有している。



TAOSUが、再び低く唸った。

「こんな世界でお前は生きていたのか」

「ただ存在していただけだ」



俺は同じ言葉を繰り返した。



苦笑に近い表情が浮かぶかどうかも、俺にはもうわからなかった。



頭の疼きが、わずかに強くなる。

首輪の内側が熱を帯び、微かに震えている。

故障した装置が、俺の内側を静かに蝕み続けている。意思と行動の間に、わずかなずれが生まれ始めていることを、俺は自覚し始めていた。


例えば、今。



俺は本当に、TAOSUに「殺したい」と思ったわけではない。

ただ、頭の奥で、そういう衝動がふと形を取ろうとした。



口には出さなかった。出さなかったから、まだ大丈夫だ。



それでも、黒崎草玄が言った言葉が、頭の中に残っていた。



「お前は、もう自分で壊れ始めている」



その言葉が、妙に胸に引っかかっていた。



街路を進むにつれ、未来都市の圧倒的な異様さが、TAOSUの心をさらに揺さぶっているのが伝わってきた。

黒い甲冑が微かに軋む音を立て、兜の下の視線が休みなく周囲をさまよっている。



oneが、淡々と説明を続けた。


「2080年の東京は、巨大なメガシティだ。空は常に灰色で、粒子と排気が垂れ込めている。AIが街を管理し、脳内チップが人々の思考を繋いでいる。V-17というウイルスが、何度も世界を襲った後だ。……お前が消えた後、世界はさらに変わった」



俺は黙って歩き続けた。




ここが俺のいた時代。

灰色の虚無世界。




その時だった。


俺の視界の端で、わずかな違和感が走った。


高層ビルの屋上——



細い光が、わずかに瞬いた。



「……伏せろ」

oneが、低く、しかし即座に言った。


次の瞬間、激しい光線が地面を抉った。



レーザー銃の射撃だった。地面が溶け、熱気が上がる。


TAOSUが即座に反応し、俺を押し倒すようにして近くの遮蔽物へ移動させた。黒い甲冑が激しく動き、刀を抜く。


「敵か!」


屋上から、再び光線が降り注いだ。oneが素早く身を翻し、反撃の光線を放つ。2つの光線が空中で交錯し、激しい爆音が響いた。



屋上の縁に、黒いコートを翻した人影が現れた。

冷たい視線が、俺たちを捉えていた。


「……草玄」


oneが、低く呟いた。



黒崎草玄は、最新型のレーザー銃を構えたまま、静かに俺を見下ろしていた。


「逃げられると思うな、P」


彼の声が、ビル街に響き渡った。



oneが即座に判断した。

「PとTAOSUは地下へ。俺が時間を稼ぐ」


TAOSUが俺を押すようにして、地下への入り口へ向かわせた。俺は肩を押さえながら、必死に足を動かした。


背後で、oneと草玄の激しい撃ち合いが始まった。光線が交錯し、爆音と熱気が街を包む。


TAOSUが低く唸った。

「化け物……走れ!」


俺たちは地下への階段を駆け下り始めた。


背後で、oneと草玄の戦いが激しさを増していく。



─ この戦いは、まだ始まったばかりだった。

Thank you! Share! 読んでくれてありがとう!シェアしてね!(^_^)



/

/

/

https://lit.link/wokoeru


/

http://reverbnation.com/wokoeru




/

https://www.youtube.com/@wokoeru




/

https://music.apple.com/us/album/p-single/546234959




/

https://music.apple.com/us/album/nol-s-single/483284301




/

https://amazon.co.jp/music/player/albums/B008MW2N9E?marketplaceId=A1VC38T7YXB528&musicTerritory=JP&ref=dm_sh_zsPfVDayW8VaCrUazqA7Dd6YV




/

https://amazon.co.jp/music/player/albums/B0063O5RW8?marketplaceId=A1VC38T7YXB528&musicTerritory=JP&ref=dm_sh_o2ZSz2OjxRO4934FUwJmiaXgM




/

https://open.spotify.com/artist/01NMeEdh974bIVTiNICAOG?si=yu9lMMDFTyettAfiusMXLQ





/

goods




https://up-t.jp/creator/6772c203373ef





/

goods


https://suzuri.jp/wokoeru/17102888/acrylic-keychain/50x50mm/black?utm_source=twitter&utm_medium=social&utm_campaign=item_detail_share




/

https://suzuri.jp/wokoeru/17127354/masking-tape/15mm/white?utm_source=twitter&utm_medium=social&utm_campaign=item_detail_share






/

https://x.com/NewsMuzik/status/232382171615227904?t=79pD5mveYf716J3dR0FDiQ&s=09




/

https://x.com/JMusicBoys/status/245791022095945729?t=mIPsuWrgaeq0iIkvVtIrVg&s=09









━━━━━━━━━━━━━━━


#YouTube #ReverbNation #Spotify #スポティファイ #サウンドクラウド #instagram #インスタグラム #アマゾンミュージック #アップルミュージック #ヘミシンク #オススメ #お勧め #ascension #science #科学 #哲学 #生物学 #倫理学 #神学 #心理学 #宗教学 #古文 #形而上学 #脳科学 #生命倫理 #自殺 #殺人 #人生 #詩集 #恐怖 #芸術 #映画 #小説 #ノベル #グロテスク #ホラー #サイコ #スリラー #ヒューマンドラマ #ドラマ

#スプラッター #ファンタジー #SF

#洋楽 #洋画 #邦楽 #邦画 #レビュー #エッセイ #ポエム #ショートショート #短編 #中編 #長編 #短編小説 #中編小説 #長編小説

#音楽 #ミュージック

#Music #アンビエント#アンビエンス #ヒーリング #healing #瞑想音楽 #meditation #環境音楽 #効果音 #BGM #ポップス #pops #ロック #メタル #metal #デスメタル #Deathmetal #エレクトロ #エクスペリメンタル #インストゥルメンタル #自作曲 #オリジナル曲 #作曲 #アドリブ #ギター #ベース #ドラム #Pad #adlib

#平和 #世界平和

#アーティスト #ミュージシャン #アート #artist #art #/WoKoERu #/wokoeru #wokoeru #をこえる


YouTube ReverbNation Spotify スポティファイ Soundcloud サウンドクラウド instagram インスタグラム アマゾンミュージック アップルミュージック ヘミシンク オススメ お勧め ascension science 科学 哲学 生物学 倫理学 神学 心理学 宗教学 古文 形而上学 脳科学 生命倫理 自殺 殺人 人生 詩集 恐怖 芸術 映画 小説 ノベル グロテスク ホラー サイコ スリラー ヒューマンドラマ ドラマ スプラッター ファンタジー SF

洋楽 洋画 邦楽 邦画 レビュー エッセイ ポエム ショートショート 短編 中編 長編 短編小説 中編小説 長編小説

音楽 ミュージック Music アンビエントアンビエンス ヒーリング healing 瞑想音楽 meditation 環境音楽 効果音 BGM ポップス pops ロック ROCK メタル metal デスメタル Deathmetal エレクトロ エクスペリメンタル インストゥルメンタル Instrumental 自作曲 オリジナル曲 作曲 アドリブ ギター ベース ドラム パッド キーボード adlib

平和 世界平和

アーティスト ミュージシャン アート artist art /WoKoERu /wokoeru wokoeru をこえる



*

© /WoKoERu All rights reserved.


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。